「よさこい・林業振興・商工会支援」について 平成30年12月定例会 一般質問

(一括質問を、一問一答の形に編集しております。答弁の後は、依光の質問になります。)

議長(土森正典君)
これより日程に入ります。日程第1、第1号「平成30年度高知県一般会計補正予算」から第26号「県道窪川船戸線(岩土トンネル)防災・安全交付金工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案」まで、以上26件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問をあわせて行います。

通告がありますので、順次発言を許します。16番依光晃一郎君。

(16番依光晃一郎君登壇)

16番(依光晃一郎君)
お許しをいただきましたので、自由民主党を代表いたしまして質問をさせていただきます。

1 知事の政治姿勢について

本年10月28日に、天皇皇后両陛下をお迎えしての「明治150年記念 第38回全国豊かな海づくり大会~高知家大会~」が成功裏に終了いたしました。尾﨑知事、水産振興部を初めとした県庁職員の皆様、また警備を担当された高知県警の皆様には、平成最後の三大行幸啓ということで、大変な注目の中、滞りなく行事を終えられたことに関しまして、心よりの感謝を申し上げます。

私は、明治改元150年という節目の年に高知県で開催されたこの大会は、高知県民にとって大変名誉なことであったと思います。昨年も、大政奉還150年ということで、なぜ土佐から多くの志士が輩出され、新たな時代を切り開くことができたのかについて、12月議会一般質問で述べさせていただきました。

要約すると、谷秦山先生が実証的な歴史研究の中で皇室と幕府の二重権力の関係について解説し、その学問が後に天保庄屋同盟という生まれながらの上下の身分を否定する民主主義の原点を生み出し、ジョン万次郎先生が伝えた西洋の民主主義思想とまざり合うことで、新しい社会のあり方を明確にイメージできたからこそ、明治維新、自由民権運動に多くの人材を輩出することができたのだという趣旨でした。

加えて、太平洋に面した土佐だったからこそ、ジョン万次郎先生がアメリカに渡ることになったのだとすれば、豊かな高知の海が明治維新を呼び込んだとも言えます。

あと数日で平成30年が終わり、5月からは新元号に改まります。新たな時代を切り開くのは、やはり課題解決先進県であるこの高知であるべきだと思います。土佐の先人に倣って、新しい時代を切り開くべく、今議会も質問をさせていただきます。

(1)沿道での奉迎など多くの県民が参加した全国豊かな海づくり大会の感想について聞く。

まず最初に、沿道での奉迎など、多くの県民が参加した全国豊かな海づくり大会の感想について知事にお聞きをいたします。


知事(尾﨑正直君)
依光議員の御質問にお答えをいたします。

まず、天皇皇后両陛下の御臨席を賜り開催しました、全国豊かな海づくり大会の感想についてお尋ねがございました。

平成最後となります天皇皇后両陛下による三大行幸啓を、明治150年というまさに節目の年に本県で開催できましたことは、歴史上のえにしに鑑みましても大変光栄なことであったと考えております。

また、個々の行事を見ましても、おのおのに大変意義深いものであったと考えているところです。特に大会式典及び海上歓迎・放流行事では、高校生までの若い皆様方にも運営などに御参加いただき、若い漁業者の皆様とともに、海づくり八策という海づくりのメッセージを力強く発表していただきました。自然や環境を守り育てる気持ちや行動の大切さを次の世代につなげる、すばらしい大会になったと思っております。

次に、全体を通して本当に多くの県民の皆様方に一連の行事に参加していただき、まことにありがたいことであると感謝いたしております。大会行事には、県内外の関係者約1,000人に御参加いただいたほか、県内3カ所で開催しました関連行事には、合わせて約3万3,000人という大変多くの県民の皆様にお越しいただきました。さらに、約7万人もの皆様が沿道やお立ち寄り先で両陛下のお出迎えをされました。県民の皆様の両陛下をお慕いする気持ちを、行く先々で強く感じたところであります。

私は、この行幸啓の3日間、天皇皇后両陛下のおそばで随従させていただきました。天皇皇后両陛下におかれましては、御臨席を賜りました式典において、最優秀作文の朗読や海づくり八策の発表を、身を乗り出すような御様子でお聞き入りあそばされ、また県民の皆様方による歓迎に対し、繰り返し丁寧にお手振りなされておられました。豊かな海づくり大会に対する深い思い入れと国民一人一人をとても大切にされておられますことを、改めてひしひしと感じ、大変感銘を受けたところです。

お帰りの際に、今回の沿道や御訪問先でのお出迎えに参加された方の人数を、天皇皇后両陛下にお伝えさせていただいたところ、両陛下におかれましては大変喜んでおられた御様子でありました。また、つつがなく大会が終わってよかったですね、御苦労さまでしたとのお言葉を賜り、私としましては、三大行幸啓への最後の御臨席となった本大会を、好天にも恵まれ盛況のうちに終えることができましたことに安堵するとともに、ねぎらいのお言葉を賜りましたことに大変感激いたしました。

改めて、このたびの行幸啓に関し、天皇皇后両陛下に厚く御礼を申し上げます。また、今回の行事を支えてくださいました関係の皆様方の御尽力、そして大会行事を盛り上げていただいた多くの県民の皆様方の御協力に対しまして、心から御礼を申し上げたいと思います。


(2) 少子化対策について、大政奉還のごとく政治体制をひっくり返すくらいの150年に一度の策を国に要望すべきと思うが、所見を聞く。

依光
次に、現代の最大の課題である人口減少問題についてお聞きをいたします。幕末の課題が西洋列強からの脅威であったということには、誰も反論できないと思いますが、現代の最大の課題が人口減少問題だということについて、世の中の合意がとれているかといえば、そうではないように思います。

内閣府の平成29年版高齢社会白書によれば、日本の人口は、今から37年後の2055年には9,744万人となります。高齢化率は38%。さらに、ゼロ歳から14歳までの子供の総数は1,012万人、その率は10%とされています。危機的な状況をわかりやすく説明するために1学年に直すと、1,012万人を15で割って、1学年が67万人となります。

団塊の世代は1学年大体268万人なので、子供の数が約100年で4分の1になるということになります。ちなみに昨年は94万6,000人、一昨年は97万7,000人と、2年連続で100万人を割り込みました。

高知県の出生数の推移を見てみると、過去3年で、平成29年が4,837人、28年が4,779人、27年が5,052人となっています。加えて、合計特殊出生率の3年の推移は、平成29年が1.56、28年が1.47、27年が1.51となっています。

子供の数が減ってきているということは多くの方が実感していると思いますが、小学校の入学時である6年後、あるいは高校進学の16年後という近未来の数字を把握しているでしょうか。ことしの3月に高知県の高校を卒業した生徒の数は、全日制、定時制を合わせて6,151人です。では、昨年生まれた子供たちが全て高校に進学するとして、今よりどれくらい少ない学年になるでしょうか。答えは、平成29年生まれは4,837人ですので、1,300人も少ない学年となります。

現在、県立高等学校再編振興計画後期実施計画の議論が進んでいますが、ことし生まれた子供たちが高校生になる16年後に、郡部高校の存続や私立高校が今の規模で経営が成り立つかなど、考えることが少し怖くなるような未来がすぐそこに迫っています。

人口減少問題については、これまで高知県だからこその危機感を持ち、あらゆる角度から取り組んで、出生数、合計特殊出生率も上がってきていることは承知をしております。しかし、高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略に示した目標である、2040年までに合計特殊出生率2.07、2050年に出生率2.27の達成のためには、高知県だけの取り組みでは難しく、国の考え方を抜本的に変える必要があるのだと思います。

例えば少子化に関する平成27年度の県民意識調査結果を見ますと、理想の数だけ子供を持たない理由として、経済的な理由が大多数となっております。有識者などの意見を調べてみますと、児童手当について、現在月額1万円から1万5,000円の金額を10倍にすべきだという意見や、あるいは第1子が生まれた時点で1,000万円給付という話など、子育て世代への給付の拡大という意見が多く見られます。

国が、直接的なお金の支援なのか間接的な支援なのかは別にして、安心して子供を産むためにもっと予算を投入すべしという議論は、幕末と同じ気迫を持って日本を救うための議論として、高知県がリードすべきではないかと思います。

高知県は少子対策課という担当課をつくり、また尾﨑知事は、全国知事会の次世代育成支援対策プロジェクトチームのリーダーとして、国へも提言した御経験からも、人口減少問題という幕末以来の課題、とりわけ少子化の現状について深く考えてこられたと思います。

そこで、少子化対策について、大政奉還のごとく政治体制をひっくり返すくらいの、150年に一度の策を国に要望すべきと思いますが、知事にお聞きをいたします。

知事

次に、少子化対策について、150年に一度の策を国に要望すべきとのお尋ねがございました。

少子化の問題は、1970年代には既に顕在化していたにもかかわらず、その取り組みは諸外国と比較しても1世代おくれており、このまま出生率が大きく改善しなければ、今の子供たちが社会を支える時代には我が国全体の活力が失われる、まさに国家的な危機をもたらす課題であります。

私としても、全国知事会次世代育成支援対策プロジェクトチームリーダーとして、我が国は現金給付、現物給付を通じた家族政策全体の財政的な規模が小さく、家族関係社会支出の対GDP比を見ると、フランスやスウェーデンなどの欧州諸国と比べて低水準となっていることなどを踏まえ、少子化対策について、国政の中枢に据え、より抜本的に対策を強化する必要があることを、国に対して常々訴えてきたところです。

この点、本年10月、第4次安倍改造内閣の発足に当たり安倍総理は、新たな国づくりを進めるに当たって最大の課題は、国難とも呼ぶべき少子高齢化問題であると表明されたところであり、少子化対策は今や明確に国家の中心的政策課題となっております。

あわせて、私は、地域によって少子化の状況は異なることから、地域の実情に応じた対策を講じることができるようにすることが大事であると訴え、その結果、結婚支援や子育ての機運醸成に向けた地方独自の取り組みを後押しする、地域少子化対策重点推進交付金が創設されるなど、一定の進展も見られるところであります。

少子化対策を有効に進めていくためには、こうした量的拡大を図っていくことに加えて、少子化の背景に鑑み、ライフステージの各段階に応じた施策を総合的に講ずる必要があるものと考えております。

具体的には、第1に、本県のような中山間地域が多い地域においては、出会いや結婚への支援を望まれる方には、出会いの機会を意図的に創出する施策を構築すること。

第2に、妊娠期から子育て期までの切れ目のないケアにより、安心して妊娠・出産できる環境を整えること。

第3に、働きながら子育てしやすい環境を整えていくこと、さらに言えば、子育てに加え、教育にかかる極めて大きな経済的な負担を軽減することも大事な視点と言えます。

以上のような点について、例えば先ほど申し上げました地域少子化対策重点推進交付金の活用により、我が国において、現在35道府県に結婚を支援するセンターの設置が進んできたところです。

また、妊娠・出産時のケアとしては、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援を提供する、子育て世代包括支援センターが全国に展開され、さらに働きながら子育てしやすい環境づくりに関しては、育児休業の取得促進や時間単位で取得できる有給休暇制度の導入などの取り組みの促進が図られているところであります。

今後、結婚から妊娠・出産・子育てまでのライフステージに応じた一連の施策群について、もう一段の対策の強化を図ることが重要であります。

全世代型の社会保障制度を構築するとの政府の方針に沿って、子育て世帯に対する経済的な負担の軽減については、現在政府において幼児教育無償化というこれまでにない施策が展開されようとしており、この点に関し地方としても協力体制がしかれようとしております。

引き続き、国と地方が総力を挙げて一連の少子化対策の強化に取り組むことにより、我が国の少子化対策について、欧州諸国における注力以上の対策となることを目指すべきだと考えております。

私も全国知事会で次世代育成支援対策PT長を長く務めた者として、また現在の社会保障常任委員長として、大いに提言し、また実践をしてまいりたいと考えるところでございます。

(3) 新たな出入国管理法改正に対して、どのような姿勢で取り組み、市町村への支援をどう考えているのか聞く。

依光

次に、出入国管理法改正法案についてお聞きをいたします。先ほどからも話をさせていただいている人口減少問題は、日本の人口構成を逆ピラミッドに変えました。そして、人口構成の大きい世代が定年退職することにより生まれた労働者不足は、若い世代だけでは埋めることができず、大きな社会問題となっております。

そうした中、定年延長や女性の社会進出などに加えて、外国人労働者によって労働者不足を補おうとする出入国管理法改正法案が、今月国会で成立しました。

大きな流れとしては、高知県にも外国人労働者がふえていくことは間違いありません。現在でも、農業分野を中心に受け入れが進んでおり、外国人労働者の労働力なしには農業経営ができないところが多くあります。

今後、外国人の労働者がさらにふえるのであれば、受け入れ農家・組織のフォロー体制や外国人労働者の方々への日本語教育サポート、社会保障制度や生活支援など、外国人労働者にとって働きやすい高知県にするために、県としての支援体制をつくっていただきたいと思います。

そこで、高知県として新たな出入国管理法改正に対してどのような姿勢で取り組み、市町村への支援をどう考えているのか、知事にお聞きをいたします。

知事

次に、出入国管理法改正に対してどのような姿勢で取り組み、また市町村への支援についてどのように考えているのかとのお尋ねがございました。

我が国の経済は、緩やかな景気回復基調が続き、全ての都道府県で有効求人倍率が1倍を超える状態となっています。加えて、生産年齢人口の減少により全国的に人手不足が深刻化する中、一定以上の専門性、技能を持った即戦力となる外国人材を、国の施策として新たに受け入れていくことは、一つの方向性であると認識をしています。

本県における外国人材の雇用状況は、昨年10月の時点で2,414人が雇用され、うち半数以上の1,405人が技能実習生として、製造業を初め農業や漁業、建設業など、1次産業から3次産業まで幅広い分野で受け入れられており、近年大幅に増加をしております。

また、深刻な人手不足の克服に向けては、現在産業振興計画において、成長の壁を乗り越えるための最も重要な施策群として、移住の促進を初め、1次産業や商工業など各分野で人材確保に懸命に取り組んでいるところであり、これらを、より実効性の高いものへと改善を図りながら、全力で実行していくことが最も重要であると考えています。

ただ、製造業や介護業など幾つかの業界から、さらなる外国人材を求める声もお聞きしており、外国人材に対するニーズは一定あるものと捉えています。この外国人材を受け入れていくに当たっては、受け入れ事業者が労働関係法令を遵守することはもちろん、地域の住民として県民の皆様と共生できるようにしていくことが重要でございます。

この点に関し、まず現行の技能実習制度におきましては、昨年、いわゆる技能実習法が施行され、外国人技能実習機構により監理団体や受け入れ事業者への管理監督が強化されるとともに、通報・申告窓口など技能実習生の保護体制についても整備されたところであります。

県としましても、入国管理局や労働局とともに、四国地区地域協議会に参加をするとともに、本県独自で技能実習制度に関する連絡協議会を設置し、法令違反や失踪の実態、また生活関連の課題などを共有し、関係機関の役割に応じて対策を検討しているところです。

さらに、今般の出入国管理法の改正においても、法令遵守や地域での共生が実現できることが重要であり、今後国において示される、外国人材の受け入れに関する基本方針や、受け入れ見込み数等に関する分野別の運用方針、環境整備に関する総合対策、雇用契約基準などを定める省令などにおいて、制度設計をしっかりとしていただくことが重要であります。

県におきましても、まずは現行の技能実習制度を円滑に実施するために、生活や仕事の中でのコミュニケーションに必要不可欠な日本語の学習機会の拡充に取り組もうとしているところです。

さらに今後、今般の国から示される環境整備に関する総合対策を踏まえ、市町村や関係機関と連携して、日本語教育のさらなる拡充を初め、社会生活にかかわる医療、福祉、教育などの問題に対応していくための仕組みを検討したいと考えており、今後関係者の間でそのための協議の場を持つべく、検討を進めたいと考えているところでございます。

(4) 伝統的な文化や芸術に関して、外国人観光客へのアプローチなど、昨年策定された高知県文化芸術振興ビジョンにより取り組んだこれまでの手応えと今後に向けた決意を聞く。

依光

次に、外国が近くなった高知においてこそ、伝統文化の継承について意識すべきという観点で質問をさせていただきます。高知県はここ数年で外国とのかかわりが大きく広がり、身近になったと感じています。先ほど述べた外国人労働者のことに加え、外国の方々に高知のものを売ったり、あるいは観光客として来てもらうなど、ビジネスとして成り立つ環境が整ってきたのです。また、教育の分野でも、バカロレアや小学校の英語教育など、国際化に向けた準備も進んでいます。

私は、外国が近くなったからこそ、高知独自の文化や伝統を改めて大事にし、高知県の魅力として世界に発信していただきたいと思います。

しかし、伝統的な生活様式は時代の流れの中で廃れていき、外国人観光客から人気の棚田の風景や日本建築が美しい里山は、過疎・高齢化により失われていっています。

こういった魅力は、行政が補助金で単純に支援すればよいというものではなくて、新たな価値を見出せる人材を活用することによって、新たなビジネスとして再生すべきと思います。外国人観光客に喜んでもらえる高知らしい風景を、自然・体験型観光に位置づけたり、外国人観光客に喜ばれる民泊事業を立ち上げたりという事業です。

新たなビジネス、新たな起業家の活躍には、産学官民連携・起業推進課のKOCHI STARTUP PARKなどが支援しています。

また、ことしからは、文化芸術を観光振興や産業振興に生かせる人材育成ということで、アートビジネス講座を開催しており、この取り組みにも大変期待をしております。

私は、伝統的な文化や芸術を残していくためには、これまでと違った存在意義を生み出し、新たな顧客を獲得していくようなことが必要だと思います。すぐに成果があらわれるものではないかもしれませんが、外国人観光客へのアプローチなど、昨年策定された高知県文化芸術振興ビジョンにより取り組んだこれまでの手応えと、今後に向けた決意を知事にお聞きいたします。

知事

次に、伝統的な文化や芸術に関して、外国人観光客へのアプローチなど、昨年策定した高知県文化芸術振興ビジョンにより取り組んだこれまでの手応えと、今後に向けた決意についてお尋ねがございました。

伝統的な文化や芸術を将来にわたって継承させていくためにも、文化芸術活動を経済的な活動にもつなげ、暮らしが成り立つがゆえに後継者が継続的に確保されるという状況をつくり出していくことも有効であると考えています。

このためには、文化芸術の振興を担う人材の育成と、文化芸術を観光振興などとタイアップして産業化を図ることの2点、この点も重要であると考えているところです。

1点目の人材育成の取り組みに関しては、本年度から文化人材育成プログラムとして、文化芸術を産業に生かすために必要なマーケティングなどを学ぶアートビジネス講座や、地域資源を生かした文化芸術活動を学ぶアートマネジメント講座などを開催しているところです。

2点目の文化芸術の産業化につきましては、新たに事業化された事例はまだございませんが、観光振興の取り組みとタイアップして、お城まつりやクルーズ客船の寄港などの機会を活用し、伝統的な文化や芸術の発表の場の創出に取り組んでおります。本年3月のクイーン・エリザベス号寄港時には、高知城と高知城歴史博物館において、抜刀道の実演や一弦琴の演奏などを開催し、多くの外国人観光客の方々に日本の伝統的な文化に触れていただき、満足していただけたと考えております。また、こうした取り組みの中で、文化芸術が産業につながる可能性を実感したところであります。

今後におきましても、文化芸術の振興を担う人材育成の取り組みを行いますとともに、県内各地の伝統的な文化や芸術と、来年2月から開催する自然・体験型観光キャンペーンやナイトタイムエコノミーにかかわる各種イベントなどとのタイアップも模索してまいりたいと考えております。こうした取り組みにより、本県の文化芸術を経済的な活動にもつなげていくことで、その継承、発展に資すること、このことに努めてまいりたいと考えているところです。

(5) アメリカ海兵隊岩国基地所属の空中給油機と戦闘攻撃機の墜落事故に関して、これまでに把握している情報と事故後の対応について聞く。

依光

今月6日午前1時40分ごろ、室戸岬の南南東約100キロ地点で、アメリカ海兵隊岩国基地所属の空中給油機KC130とFA18戦闘攻撃機が接触し、墜落しました。また、2年前の平成28年12月7日にも、FA18戦闘機が土佐清水沖約102キロ地点で墜落するという事故がありました。

県は、今回も米軍機事故についての原因究明や再発防止に関する要請文書を、防衛省や外務省に対して早速提出したと聞いていますが、これまでに高知県が把握している情報と事故後の対応について知事にお聞きをいたします。

知事
次に、空中給油機と戦闘攻撃機の墜落事故に関して、これまでに把握している情報と事故後の対応についてお尋ねがありました。

12月6日に発生した室戸岬沖における墜落事故につきましては、中国四国防衛局から、米軍のFA18とKC130が空中接触し、2機とも着水したとの第1報を受けた後、直ちに高知県の漁業協同組合連合会及び無線漁業協同組合を通じて、操業中の漁船への被害の有無を確認いたしました。幸いにも、被害報告はありませんでしたが、さらに事故について詳しい情報を把握するために、中国四国防衛局や自衛隊に加えて、高知海上保安部からの情報収集に努めたところです。

これまでに、自衛隊及び海上保安庁などの航空機や船舶による捜索救助活動によって、事故当日には2名の乗員が発見されましたが、うち1名はお亡くなりになっており、衷心よりお悔やみを申し上げます。また、安否不明の5名についても、一刻も早く無事に発見されることを心から願っております。

今回の事故に関しまして、海兵隊司令部は定期訓練を行っていたと発表しており、この訓練自体は日米安全保障体制の中において重要であり、必要であると認識をしております。

しかしながら、米軍の運用に当たっては、周辺住民の安全確保が大前提であり、事故はあってはならないものです。過去3回の墜落事故を経験した本県において、今回の事故は県民や漁業者の皆様が抱いていた不安を増幅させるものであり、まことに遺憾と言わざるを得ません。

本県といたしましては、今回のような墜落事故はあってはならないとの観点から、事故発生の翌日に外務大臣及び防衛大臣に対し、事故に関する速やかな情報提供、徹底した事故原因の究明、さらには実効性のある再発防止策を行うことを米国に申し入れていただくよう、書面を提出いたしました。

また、事故当日には中国四国防衛局長が海兵隊岩国航空基地司令官に対し、今回の事故は住民に対して極めて大きな不安と心配を抱かせるものであり、まことに遺憾であること、航空機の運用に当たって引き続き安全面に最大限配慮すること、事故について速やかな情報提供を求めることを文書により申し入れたと伺っております。

海兵隊司令部の発表によりますと、現在事故状況の調査中とのことでありますが、今後その推移をしっかり見守る必要があると考えております。

引き続き、米軍がどのように原因を究明し、さらに再発の防止に取り組んでいるのか、国からの情報収集などに努めてまいりたいと考えております。


(6-ア) 新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備について

依光

次に、管理型産業廃棄物最終処分場についてお聞きをいたします。高知県は、昨年6月よりエコサイクルセンターの後継となる最終処分場の候補地について選定作業を始め、客観的、科学的かつ透明性のあるプロセスにより3カ所に絞り込みました。そして、須崎市神田、香南市香我美町上分、佐川町加茂の3カ所について、住民説明会やエコサイクルセンターの見学会などを通じ、説明を重ねております。

私は、管理型産業廃棄物最終処分場は重要なインフラ施設であると認識しております。また、早ければ2022年9月には満杯となると試算されていることから、空白期間なく整備すべきだと思います。

高知県は、住民からのさまざまな不安の声に応えるべく、1、地形や地質に関する調査、2、水に関する調査、3、候補地周辺に関する調査、4、南海トラフ地震による津波の影響に関する評価の4点の項目について検討し、佐川町加茂が最も有力であるとの考えを、今議会の知事提案説明により表明しました。

私は、これまでの県の丁寧な取り組みに対して大いに評価をしております。

そこでまず、知事が提案説明において説明した3カ所の候補地の中から、なぜこのタイミングで1カ所に絞り込むことが適切であると考えたのか、知事にお聞きをいたします。

知事


次に、新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備について、3カ所の候補地の中から、なぜこのタイミングで1カ所に絞り込むことが適切であると考えたのかとのお尋ねがございました。

これまで、県としては、最終候補地として選定された3カ所の地元の皆様には、丁寧な上にも丁寧に誠意を持って対応するとの考えのもと、3地区それぞれの皆様を対象とした住民説明会やエコサイクルセンターの見学会を開催してまいりました。

加えて、説明会に御参加いただけていない皆様にも御理解を深めていただけますよう、説明会資料とあわせてアンケート用紙をお配りして、御意見をお聞かせいただく取り組みも行ってまいりました。

さらに、皆様からいただきました御質問などに関する県の考えを改めて整理して作成した質疑応答集の各戸配布などを行い、住民の皆様に、施設の必要性や安全性、候補地として選定された経緯などへの御理解を深めていただくよう努めてきたところです。

住民の皆様からは、管理型最終処分場で受け入れる産業廃棄物の品目や処理方法など、最終処分場そのものに関する御質問から、施設が整備されることによる生活への影響や跡地利用の考え方に至る幅広い御意見などをいただいてまいりました。こうした御質問や御意見にその都度丁寧に説明を重ねさせていただいてきた結果、住民の皆様には、最終処分場の必要性そのものについてはおおむね御理解をいただけたのではないかと考えているところです。

他方で、地元への説明を重ねる中で、住民の皆様の心配の声や御意見は、豪雨による土砂崩れや河川の増水といった自然災害への不安、大型車両が通行することによる粉じんや騒音、交通安全上の懸念など、住民の皆様の生活への影響といったことに論点が絞られてきたと考えております。

加えて、施設整備に合わせた周辺の環境整備について、雨水の調整池の規模や放流先をどこにするのかといった、より具体的な御質問も多くいただくようになりました。こうした住民の皆様の声に対しては、関係機関との協議を初め、ボーリング調査や測量、設計などの過程において、個別の対策について検討を深めた上でなければ、明確にお答えすることが難しいものと考えております。

さらに、現地調査結果の説明会では、3カ所ある候補地のうちの1カ所という状況では、どこまで踏み込んで考えればよいかわからないといった御意見もいただいております。これらを踏まえれば、3カ所横並びの対応では、これまで以上の説明も難しい状況になってきていると感じております。

こうしたことに鑑みまして、県として住民の皆様の声にしっかりとお答えしていくためには、現時点で候補地を1カ所に絞り込んだ上で、住民の皆様の不安の解消に向けて、次のより詳細な検討の段階へ進ませていただくことが適当ではないかと考えるに至ったところでございます。


(6-イ) 新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備について

依光

また、高知県は、佐川町加茂において進入道路を新設する案を有力としている理由として、施設整備による生活への影響が最も小さく、地震による津波の影響もないこととしています。

県は、住民生活へのさまざまな影響をどのように把握して3カ所の比較を行ったのか、林業振興・環境部長にお聞きをいたします

林業振興・環境部長(田所実君)

まず、新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備について、住民生活へのさまざまな影響をどのように把握して3カ所の比較を行ったのかとのお尋ねがございました。

新たな管理型最終処分場は、現在日高村にあるエコサイクルセンターと同様に、被覆型で処理水を場外に一切出さないクローズドシステムを採用するとともに、国の基準を上回る遮水構造とすることとしているため、処分場内で発生する粉じんや騒音、処分場からの排水などによる住民生活への影響はないものと考えています。

他方、施設の整備に伴い、工事用車両や廃棄物運搬車両の通行による、粉じん、騒音などの影響や交通安全上の懸念など、住民の皆様の生活への影響が想定されますことから、候補地周辺に関する調査を実施し、施設への進入道路として、既存道路を拡幅して利用する案と新設する案について、それぞれの影響を評価したところでございます。

評価に当たりましては、既存道路の幅員や利用状況、沿道で影響を受けると思われる住家等の有無などについて、現地を確認し、課題を整理いたしました。

既存道路を拡幅して利用する案では、須崎市神田は、進入道路として想定する県道の沿道に農業用ハウスや家屋が連なっているところがあり、その県道は通学路としても利用されていることから、車両通行による沿道への粉じん、騒音等の影響や交通安全上の懸念が考えられますし、沿道で農作業をされている方々の利便性が損なわれてしまうことや、農業用ハウス等の移転や補償が必要になるということが考えられます。

香南市香我美町上分は、進入道路として想定する県道の沿道に家屋や倉庫が点在しており、その県道は通学路としても利用されていることから、車両通行による沿道への粉じん、騒音等の影響や交通安全上の懸念、家屋等の移転や補償が必要になるということが考えられます。

佐川町加茂は、進入道路として想定する町道の沿道に住家があり、その付近の道路の幅員は広く、町道を拡幅する必要はありませんが、車両の通行による沿道への粉じん、騒音等の影響が考えられます。

進入道路を新設する案は、既存道路を拡幅して利用する整備案と比べると、住民の皆様の生活に及ぼす影響は小さいと考えられますが、須崎市神田は、農業用ハウス等の移転や補償が必要となりますし、香南市香我美町上分は、整備するトンネルの入り口周辺に住家があるといった状況にありますことから、車両の通行による粉じん、騒音等の影響が考えられます。

この点、佐川町加茂は、沿道に住家等のないルートとなるため、他の2カ所のような粉じん、騒音等の影響は小さいと考えられ、佐川町加茂において進入道路を新設する案が、住民の皆様の生活への影響が最も小さい案であると評価したところでございます。

(6-ウ) 新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備について

依光

また、候補地に選定された3地区での住民説明会やアンケートでは、さまざまな御意見が寄せられたことと思います。また、今回の絞り込みにより有力とされなかった2市についても、しっかりと県の考え方について説明する必要があると考えます。

知事からは、住民の皆様の御意見には3市町間で大きな差があるとは言いがたい状況との説明がありましたが、それぞれの地域でどのような意見が寄せられたのか、また県として地元の皆様の受けとめをどう捉えたのか、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。


林業振興・環境部長

次に、それぞれの地域でどのような意見が寄せられ、地元の皆様の受けとめをどのように捉えたのかとのお尋ねがございました。

本年2月に3カ所の最終候補地が選定されて以降、各地区で開催した説明会やエコサイクルセンターの見学会において、住民の皆様からたくさんの御意見、御質問をいただきました。また、2回実施いたしましたアンケートにも多くの御意見をいただいたところです。

各地区の住民の皆様からは、地震の影響による施設からの水漏れを初め土砂災害や大雨による河川の増水など自然災害に関すること、工事用車両が通行することによる粉じん、騒音や交通安全上の懸念に関すること、また施設が立地することによる農作物への風評被害など、不安に思われていることについての御意見、御質問を多くいただいたところであり、これらは3地区にほぼ共通するものでございました。

地区ごとの特徴的な御意見としましては、須崎市神田では施設園芸への影響に関する御心配、香南市香我美町上分では交通安全に関する御心配、佐川町加茂では大雨による河川の増水に関する御心配の声がございました。

また、3カ所ともに、御自身の地域には施設をつくってほしくないという意見もいただいてきたところでございます。

県としましては、こうした住民の皆様の御意見には、3市町間で大きな差があるとは言いがたいと捉えているところでございます。

他方、こうした住民の皆様の不安の声につきましては、候補地の絞り込みに当たって、現地調査の結果などに基づいて検討した、地形や地質、水に関する調査などの4項目についての科学的かつ合理的な視点と重なるものであり、佐川町加茂において進入道路を新設する案を最も有力とする検討結果は、住民の皆様の不安の声をも踏まえたものであると考えているところでございます。

(6-エ) 新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備について

依光

また、建設予定地の決定に向けては、施設整備における不安の解消に一層努め、地元の理解を得ることが最も重要であると思います。

今後、この施設を地元に受け入れていただくためにどのような進め方で取り組んでいくのか、知事にお聞きをいたします。

知事

次に、今後施設を地元に受け入れていただくためにどのような進め方で取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。

県としましては、まずは佐川町加茂において進入道路を新設する案が最も有力であると考えたことについて、本議会において議員の皆様に丁寧にその理由などについて御説明させていただき、御理解を賜りますよう努めてまいりたいと考えております。

県として候補地を1カ所に絞り込む決定をした後は、速やかに地元の首長に対して、施設の受け入れを要請させていただきたいと考えています。

あわせて、住民の皆様からいただいている不安の声に対してもしっかりとお答えをして、御理解を深めていただく取り組みを進めていかなければならないと考えております。このため、まずはより多くの住民の皆様のお声を改めてお聞かせいただくことができますよう、地元の自治体や自治会の皆様の御協力もいただきながら、住民の皆様との話し合いの場の持ち方などについて工夫していきたいと考えています。

今後は、そうした話し合いの場において、住民の皆様からの御不安の声などを詳しくお聞かせいただき、それらの不安を一つ一つ解消できますよう、個別具体的な対応を含めて県としてしっかりとお答えさせていただくことにより、施設の整備についてより多くの皆様に御理解を深めていただきますよう、一段と丁寧に取り組んでまいりたいと考えております。


2 よさこいの振興について

(1) よさこい祭りの維持発展のため、無形文化財の指定に向けて積極的に関わっていくべきと思うが、所見を聞く。

依光

次に、よさこいについてお聞きをいたします。

高知県は、2020年オリンピックの開閉会式に、よさこいの演舞を披露することを目的に、2020よさこいで応援プロジェクト実行委員会を立ち上げ、機運を盛り上げてきました。ことし7月には、開閉会式総合統括に狂言師の野村萬斎氏が発表され、演出についても今後議論がなされると思います。

私は、オリンピックでのよさこい演舞は絶対に実現させていただきたいし、ソーラン・どまつり系と言われるチームだけで演舞したとしても、私は成功だと思っております。しかし、この私の意見に対して、あれはよさこいではないとの反論が出ることも予想されます。

現在、高知新聞では「よさこいの「かたち」高知65年目の夏」という連載が続いていますが、第5部の「2020年に向けて」という一連の記事では、名古屋・にっぽんど真ん中祭り、津市・安濃津よさこい、京都・龍馬よさこいの関係者が、それぞれの思いを熱く語っておられます。

こういった情熱を持った方々がなぜ全国にいるのかといえば、28年前に北海道でYOSAKOIソーラン祭りをやりたいと学生が言ったときに、それはよさこいではないから協力しないということではなく、おもしろそうじゃないかと協力した高知県民が多くいたことがルーツです。

特に私の地元香美市は、県内で唯一、よさこいを通じた姉妹都市交流の歴史を持つ町です。28年前に北海道の大学生をサポートした縁で、北海道の積丹町と今でも交流を続けています。詳しい話は、平成26年2月定例会予算委員会で触れましたので、多くを述べませんが、ソーラン・どまつり系の祭りと、高知のよさこい祭りを結びつける役割が私なりに果たせればと考えております。

そんな思いの中、オリンピックに関連した全国的な連携を今後につなげていくために、よさこい祭りの無形文化財指定をという話が、龍馬よさこい実行委員会の木村隆比古さんからありました。来年には、文化財保護法改正法案が施行され、文化財の活用についての議論が活発化することが予想されるタイミングでもあり、すばらしい御提案だと思います。

では、国や県の無形文化財に指定されることによって何が変わるのか、それは、よさこい祭りが、文化的な価値を持つ、日本を代表する祭りとしてのお墨つきが得られ、全国のよさこい系の祭りの維持・発展にも資する取り組みになるということです。

よさこい祭りは、その祭りの持つエネルギーから過去の高知県においても、騒音への苦情や若者を非行に走らせるあしき祭りだなど、よさこいへの規制についての議論がありました。全国のよさこい祭りも同じような経験をしていると聞きます。

しかし、そもそも法令による規制はよさこいにはなじまないし、そうではなくて、よさこい祭りは日本の伝統にルーツがあり、日本文化の継承という矜持によって間違った道に進まないというルールづくりを確立すべきだと思います。

日本文化にルーツがというのは、よさこい節という伝統ある楽曲であり、また日本舞踊にルーツを持つ振りつけのことを言っています。

そんな折、正調よさこい鳴子踊りについてしっかりと学び直そうという機運が盛り上がり、当時の振りつけがどのように変遷したかについて御存じの若柳由喜満先生によって、勉強会が開催されました。その勉強会では、現在の正調鳴子踊りができるまでの経緯や、一つ一つの振りつけにどういった意味があるのかなどが明らかにされ、勉強会に参加されたよさこいに深くかかわる面々も、改めてよさこいの奥深さに感動しました。

そこで、高知県は、全国に、そして世界に広がるよさこい祭りについて、生みの親である母なる土地として、よさこい祭りの維持・発展のため、無形文化財の指定に向けて積極的にかかわっていくべきだと思うが、知事にお聞きをいたします。

知事

次に、よさこい祭りの無形文化財への指定についてお尋ねがありました。

よさこい祭りは、昭和29年に市民の健康と繁栄を祈願し、また商店街の振興を促進するために始まりました。現在では、全国で200カ所以上、世界28の国や地域に広がり、日本を代表する祭りへと成長しています。よさこい祭りが無形文化財に指定されれば、世界に向けての発信力が増しますとともに、将来に向けての適切な保存、伝承につながることが期待できます。

現在、県内における国の重要無形民俗文化財は、室戸市の吉良川の御田祭と、9つの神楽を一括した土佐の神楽が、民俗芸能の変遷過程を示す特に重要なものとして指定されています。

吉良川の御田祭は、田楽や農耕の様子を演じる古風な祭りとして、また土佐の神楽は、出雲神楽の系統に属し、一般的な神楽と比べ特色のある一時代古いものとして認められたものであります。

県の保護無形民俗文化財としては、秋葉祭、土佐の太刀踊などの34の祭りや芸能が、江戸時代以前から行われる祭礼等における行事で、現代まで続く芸能のもとを示すものとして指定をされています。

よさこい祭りの無形文化財指定に当たりましても、こうした国や県の指定基準を満たすとともに、無形文化財としての価値を明確にすることや、保存、伝承を担う団体を特定することなどの課題があると考えています。加えて、過去の指定事例からすると、江戸時代以前に起源を持つ歴史が評価されていますことから、息の長い取り組みになることも想定をされます。

よさこい祭りは、本県の宝であり、世界にも通用する観光資源であることから、先人たちの労苦に思いをはせながら、しっかりと未来へつないでいくことが重要であると考えています。

本年4月には、よさこい祭りを未来へ継承することを目的として、よさこい祭振興会、よさこい祭り競演場連合会、高知市観光協会、高知市、高知県の5団体とよさこいチームの皆さんとで、8月10日をよさこい祭りの日と宣言したところであります。

よさこい祭りを振興させていく方法につきましては、無形文化財への指定の取り組みも含め、5団体で連携して検討を深めてまいりたいと、そのように考えております。

(2) 各競演場の運営強化について、県をはじめ「よさこい祭りの日」を宣言した団体で構成する組織体において検討する考えはないか聞く。

依光

私は、高知県のよさこい祭りは今後も永遠に続いていかなければならないし、全国のよさこい関係者がいつまでも聖地巡礼で訪れてもらえるような安定的な祭りの運営体制づくりは、高知県の使命だと考えております。

しかし、よさこい祭りの運営は限界に来ているのではと感じます。ことしの象徴的な出来事としては、菜園場商店街と愛宕町商店街が踊り子チームの出場を断念しました。2つの商店街は、競演場の運営は維持していただきましたが、今後も商店街の皆様方だけに頼りっ放しというのは無理があるのではと思います。むしろ、よさこい祭りは高知県の祭りだということで、県が積極的にかかわることも必要ではないかと考えるところです。

他県の事例では、どまつり50年構想を宣言した名古屋のにっぽんど真ん中祭りの運営が、全国的に注目されています。その運営は、コミュニティーづくり、人材育成に力を入れており、祭りを通じて新たなリーダーを毎年毎年生み出す人材育成プログラムとなっております。どまつりのコンセプトでは、参加するチームのリーダーが、活動する地域のコミュニティーの核となり、地域活性化にも貢献してもらうことを期待しています。つまり、地域活性化のためにチームをつくり、チームの運営そのものが人材育成プログラムとなり、そこで学んだ経験が地域コミュニティーに還元されるという仕組みです。

また、大学生がスタートさせた祭りであることから、メーンステージは、今でも学生委員会が代がわりしながら運営しております。

高知県においては、追手筋本部競演場は商工会議所、それぞれの競演場は地元の商店や住民の方々が担っており、新しい担い手を確保していくことは容易ではありません。

高知県として、どまつり方式の全面的導入は難しくとも、よいところは取り入れながら少しずつ変えていくことも必要だと思います。

また、商店街の活性化こそが競演場の活性化だという観点からは、新しい商店主の誘致が不可欠ですし、地域のコミュニティーの再生という意味では、小中学校や高校との連携などもできないかと考えるところです。

過去には、移住支援併設型・空き店舗改修事業という提案や、ホーム商店街協定という提案をさせていただきました。最近思いついたことでは、高知県の競演場は、他県の皆さんから見ればそれぞれ魅力的であることから、商店街としてのグッズなどを用意して、ふるさと納税やクラウドファンディングなどで資金集めをして、その資金で運営についての負担軽減が図れないでしょうか。また、KOCHI STARTUPPARKやココプラとの連携など、商店街の新たなビジネスも生み出されればと思います。

本年4月には、競演場、演舞場の維持・発展を初め、よさこい祭りを未来へ継承することを内容とした、よさこい祭りの日宣言を、高知県、よさこい祭振興会、よさこい祭り競演場連合会、高知市観光協会、高知市で行いました。

そこで、各競演場の運営強化について、県を初め宣言した団体で構成する組織体において検討するお考えはないか、観光振興部長にお聞きをいたします。

観光振興部長(吉村大君)

よさこい祭りにおける競演場の運営強化面についてお尋ねがありました。

よさこい祭りの競演場、演舞場の運営に当たりましては、これまでにも、祭りを支えているよさこい祭り競演場連合会の方々との意見交換を通して、担い手の不足や高齢化といった課題があると伺っています。

これらの課題は、祭りを主催するよさこい祭振興会や高知市・県としましても、早期に改善が望まれる課題であると考えていますので、3団体でそろって、商店街で競演場の運営を担う代表の方をお訪ねし、担い手の不足などに加えて、後継者や資金の確保、運営手法の引き継ぎが難しくなっている現状もお聞きしたところです。

競演場、演舞場の運営強化に向けましては、先ほど知事からお答えしましたように、本年4月によさこい祭振興会や県など5団体が主体となって、よさこい祭りをさらに県民、企業に浸透させ、競演場、演舞場の維持・発展などにつなげ、未来へ継承していくことを目的に、8月10日をよさこい祭りの日と宣言しました。

さらに、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開閉会式でのよさこい演舞の実現を目指して設立しました、2020よさこいで応援プロジェクト実行委員会には、北海道のYOSAKOIソーラン祭りや愛知のにっぽんど真ん中祭り、三重の安濃津よさこいにも加盟をいただき、各団体の運営手法についても情報交換ができる関係を築いています。

ことしのよさこい祭りでは、幾つかの競演場において、県内の企業や大学生に応援を依頼してボランティアスタッフが確保できたとお聞きしていますし、愛宕競演場では、三重の安濃津よさこいの方々に応援を依頼して協力が得られるなど、運営面での工夫が図られています。

将来にわたるよさこいの振興にとって、競演場、演舞場の維持・発展は何より大切ですので、さまざまな運営上の課題の解決に向けまして、よさこい祭りの日宣言を行いました5団体を構成員とする検討会において、運営面での工夫や全国のよさこい主催団体の運営手法などにも学びながら、具体的な対策の検討を進めてまいりたいと考えております。


(3) 県内の小中学校では、よさこい祭りやよさこい鳴子踊りについての学習をどのように行っているのか、また、その成果をどのように発表しているのか、地域ごとの具体的な取り組み状況について聞く。

依光

次に、よさこい祭りやよさこい踊りの学習の状況についてお聞きをいたします。よさこい祭りを100年、200年と残していくためには、高知県の子供たちによさこいに触れてもらう機会をふやすことが重要です。高知県内には、よさこい踊りを披露する祭りが幾つかあります。香美市においても、土佐山田まつりや湖水祭で子供会などのチームが踊りを披露しております。

しかし、高知県内には、よさこい鳴子踊りはテレビでは見たことがあるけれど、実際に踊ったことはないという子供たちがふえているのではと感じるところです。

私は高知県の子供たちは、義務教育の期間によさこい祭りやよさこい鳴子踊りについて学習し、学校内にとどまらず、地域の祭りやイベントで披露する機会を持つことが必要だと考えております。この経験は、県外に出て進学や就職をしたとしても、高知のルーツに誇りを持ち、将来的には高知県に帰って働こうという意欲にもつながるのではと考えるところです。

私は、よさこい祭りやよさこい鳴子踊りは、高知県の子供たちにとって、郷土を愛する心を育むよい教材であると思いますが、高知県内の小中学校では、よさこい祭りやよさこい鳴子踊りについての学習をどのように行っているのか、またその成果をどのように発表しているのか、地域ごとの具体的な取り組み状況について教育長にお聞きをいたします。


教育長(伊藤博明君)

まず、よさこい祭りやよさこい鳴子踊りについての学習をどのように行っているのか、またその成果をどのように発表しているのか、地域ごとの具体的な取り組み状況についてお尋ねがございました。

具体的な数値での把握はできておりませんが、よさこい祭りやよさこい鳴子踊りを学習している小中学校は、高知市及びその周辺の市町村に多くあり、その取り組み方は地域や学校によって違っております。

例えば高知市では、小学生向けに作成している社会科の副読本の中に、よさこい祭りについて調べる学習が設けられており、小学校3年生が、祭りの起源や主催者の願い、参加者やそれを支える人々の思いなどについて学んでおります。また、香美市には総合的な学習の時間に、なぜ全国から人が集まってよさこいを踊るのかという研究テーマで、よさこい祭りの魅力を探究する学習に取り組んでいる中学校があります。

よさこい鳴子踊りの学習については、取り組んでいる小中学校の多くが、保健体育の授業において児童生徒がよさこい鳴子踊りを創作し、運動会で発表しております。また、市町村によっては子供会活動の一環として、よさこい鳴子踊りの練習を行い、8月のよさこい祭りや地域のお祭りで踊りを披露しているところもあります。

よさこい祭りは、高知市で始まったお祭りですが、今では多くの県民が参加するとともに、全国、そして世界へ広がっております。県内全ての地域で取り組まれている状況ではありませんが、県教育委員会といたしましては、子供たちに郷土を愛する心を育むため、よさこい祭りはもとより、各地域のお祭りや踊りなどの伝統文化も大切に学習していただきたいと考えております。

(4) 国際交流などにも貢献できる日本文化・土佐文化を学べるよさこい鳴子踊りの教材を作成してはどうかと考えるが、所見を聞く。

依光

次に、よさこい鳴子踊りの教材についてお聞きをいたします。

高知県のよさこい文化を子供たちにしっかり教えるためには、教材の整備が
必要です。しかしながら、よさこい鳴子踊りの教材に関しては、学校現場で使えるものが少ないのが現状です。

一方、よさこいの原型とも言える正調よさこいについては、実は幾つかのバリエーションがあり、どれが本当の踊りかということに関して結論が出せない状況が続いていました。このことに関して朗報とも言えるのが、先ほども触れた、よさこいを無形文化財にという運動の中で、若柳先生の解説によるよさこい鳴子踊りのルーツや振りつけの意味など、これまで余り深掘りされていなかったことも含め、教材化ができる環境が整ってきました。

学校現場で使える教材ができれば、高知県の子供たちへのよさこい文化の継承だけではなく、バカロレア教育や交換留学で、海外で日本文化を紹介する機会がある学生への事前学習にも有効であると思います。加えて、JICAの青年海外協力隊事業などにおいて、この教材を利用することで、日本語学校などを通じてよさこい文化を海外へ広めることにも活用できるのではないかと考えるところです。

そこで、高知県で、国際交流などにも貢献できる、日本文化、土佐文化を学べるよさこい鳴子踊りの教材を作成してはどうかと考えるが、教育長にお聞きをいたします。

教育長

次に、よさこい鳴子踊りの教材を作成してはどうかとのお尋ねがございました。

日本を代表する祭りとなり、世界各地にも普及しているよさこいを児童生徒が学び、さまざまな交流の場において活用することは、交流を深める効果的なコンテンツになるとともに、郷土である高知県の魅力と文化を国内外に知っていただくにも、大変効果的であると考えております。

また、中学校の学習指導要領解説では、保健体育の授業において日本の民踊を指導する際に、それぞれの地域の風土や風習、歴史など、踊りの由来についての知識を踏まえ、踊り方の特徴を捉えて踊ることができるよう工夫することが求められており、より効果的な指導を行うためには、こうした内容をまとめた教材があることが望ましいと考えております。

よさこい鳴子踊りに関する教材につきましては、平成27年度によさこい祭りの主催者であるよさこい祭振興会が、よさこい鳴子踊りの普及を目的に、正調よさこい鳴子踊り、アレンジを加えた踊り方や楽曲、さらにはよさこい鳴子踊りの歴史に関する資料をおさめた教材として、よさこい鳴子踊りというDVDとCDを作成しております。このDVDとCDは、平成27年度に高知市内の全ての保育園、幼稚園、小中学校に、平成28年度には高知市を除く県内全ての保育園、幼稚園、小中学校及び県内全ての高等学校に配布していただいておりますので、学校現場でよさこいを学ぶ際には、まずはこの教材を活用していただきたいと考えております。

(5) よさこい鳴子踊りのチームづくりを通した活動の効果をどのように考えているのか。また、子どもたちの活動成果を披露する機会として、2020年に本県で開催される全国高等学校総合文化祭で披露することができないか、併せて聞く。


依光

次に、よさこい鳴子踊りを通した人材育成についてお聞きをいたします。

さきにお話しした高知新聞の連載では、過去に南海中学校が生徒たちでチームをつくり、よさこい祭りに参加したという事例の紹介がありました。南海中の生徒たちは、行政の補助金がなくなって、よさこい祭りへの参加を断念するかの決断に迫られたときに、自分たちで参加を決め、鳴子を手づくりし、地域の人たちに協力を要請しながらお金を集め、本番を迎えたというエピソードでした。

先ほど、正調鳴子踊りを教えるための教材づくりについて質問させていただきましたが、学校現場でやるべきは、正調鳴子踊りをそのまま踊るということではなく、いかに自分たちのチームとしてアレンジするかを考えさせ、やる気を呼び起こすような授業でなければ意味がありません。よさこい鳴子踊りをなぜ学校現場で学ぶかといえば、例えば高知市のよさこい祭りや、香美市であれば土佐山田まつりに出場するためにチームをつくり、どういった振りつけや曲で踊るのかを考えさせ、仲間と協力して出場するというその一連のプロセスに高い教育効果があるからです。

2020年には、全国高等学校総合文化祭が高知県で開催されますが、全国の高校生を高知県内の高校生がよさこい鳴子踊りでもてなすというようなことができないかと思います。

そこで、よさこい鳴子踊りのチームづくりを通した活動には、郷土愛を育むとともに、生徒の自主性を育てる教育的な効果があると思うが、その活動の効果をどのように考えているのか、また子供たちの活動成果を披露する機会として、2020年に本県で開催される全国高等学校総合文化祭で披露することができないか、あわせて教育長にお聞きをいたします。

教育長

次に、よさこい鳴子踊りのチームづくりを通した活動の効果をどのように考えているか、また活動成果を披露する機会として、全国高等学校総合文化祭で披露することができないかとのお尋ねがありました。

よさこい鳴子踊りのチームをつくり、大人のチームと同様によさこい祭り本番に参加するといった活動は、生徒たちの力でさまざまな課題を乗り越えていくことが求められ、その過程においては仲間との強い連帯感を育み、実行後は大きな達成感が得られるなど、生徒の情操を育み、主体性や協働する力を育成する上で大変有意義なものであると考えます。

全国から2万人の高校生が参加する全国高等学校総合文化祭は、総合開会式やパレード、参加者へのおもてなしなどの企画や運営について、高校生に主体的に担っていただくことになっており、高知大会においても、現時点で安芸市から宿毛市までの高校生39名が学校、学年を超えて集まり、生徒実行委員として活動中です。

生徒実行委員会の取り組みは、よさこい鳴子踊りのチームづくりに比べても相当に規模が大きいものであり、今後生徒の主体的な活動により、実行委員となる高校生の参加者を拡大しながら、演劇や吹奏楽など、県内各地で開催される部門や、さらに県内全ての高校生を巻き込んだ取り組みへと広がってまいります。こうした取り組みにより、たくさんの県内高校生の主体性や協働する力が大いに育まれるものと期待しております。

また、生徒実行委員会では、全国から来県する高校生に対して、高知県の自然、文化、歴史などを生かし、地域と一体となったおもてなしを企画、検討しており、本県の代表的な文化であるよさこい鳴子踊りもさまざまな場面に活用されていくと考えております。

(6) オーテピア高知図書館のよさこいコーナーについて、よさこいに関する文献を全て網羅した特別コーナーへと強化する考えはないか聞く。

依光

次に、よさこいに関する研究支援についてお聞きをいたします。

よさこい祭りは全国に、そして海外に広がり、これからも拡大していくことが想像できます。このエネルギーは何なのか、また全国のよさこいはどんな経緯で広がったのか、海外での広がりはどうかなど、興味は尽きません。これまでも多くの大学生が卒業論文のテーマとして取り上げましたが、今後もよさこい研究については盛り上がっていくのではと思います。

私は、よさこい祭りについて、高知に来れば全てのことがわかるというような資料の展示について、新たに開館したオーテピア高知図書館に期待するところです。現状でもよさこいコーナーをつくっていますが、私は、全国のよさこいに関する資料を集め、よさこいにかかわる研究者が必ず訪れるような図書館として磨き上げていただきたいと思います。

また、よさこい期間中は、1階のエントランスホールが開放されていますが、よさこいに関する文献が充実していることを全国から来られた方がわかるような紹介コーナーを設けることで、別の機会に泊まりがけで研究に訪れる方を呼び込むこともできるのではと思います。

そこで、オーテピア高知図書館のよさこいコーナーについて、よさこいに関する文献を全て網羅した特別コーナーへと強化するお考えはないか、教育長にお聞きをいたします。


教育長

次に、オーテピア高知図書館のよさこいコーナーについて、よさこいに関する文献を全て網羅した特別コーナーとして強化する考えはないかとのお尋ねがございました。

オーテピア高知図書館のサービスや取り組みを定めたオーテピア高知図書館サービス計画においては、よさこい祭りなど高知に深くかかわるテーマを、高知ならではの資料として重点的に収集し、提供することとしております。現在、オーテピア3階には、高知資料コーナー内に、よさこい祭り関連の図書やよさこい読本といった雑誌など、よさこい祭り関係の資料を集めたよさこいコーナーを設けているほか、同じく3階の視聴覚コーナーでは、よさこい祭りのライブ映像など、関連するDVDなどをまとめて展示しております。

しかしながら、現在オーテピア高知図書館が収集しているよさこい祭りをテーマにした資料の数は、図書と雑誌を合わせて約300冊で、まだ十分と言える状況にはなく、引き続き研究に資する資料も含め充実に努め、多くの方によさこいの魅力やすばらしさを伝えられるコーナーづくりが必要であると考えております。

このため、よさこい関連として出版されている資料の購入とあわせ、県内の市町村や関係団体等のほか、全国各地でよさこいの祭りやイベントを主催する団体に対し、書籍情報の提供や資料の寄贈について依頼を行うなど、利用者のさまざまなニーズや用途に応えられるよう、県内、県外を問わず幅広い資料の収集に取り組むことなどにより、よさこいコーナーの充実強化を図ってまいりたいと考えております。加えて、図書館を訪れた方々がよさこいに関する資料を
探す際に役立つブックリストを作成するとともに、そのブックリストをホームページでも公開してまいりたいと考えております。

こうした取り組みを通じて、よさこいに関しましても、さまざまな情報が得られる図書館として充実強化を図り、図書館を利用する方々の知りたい、学びたいという思いにしっかりと応えてまいります。

3 林業振興について

(1) ウッドマイルズという、木材を輸送するエネルギーを削減して、地球温暖化を防ぎ循環型社会の構築を目指すという考え方からすれば、香美市の2つの森林組合で切った木が、より近い製材所でJAS認定がとれるというようなことが望まれるが、どういった姿を描いてJAS認定工場となるよう支援していくのか聞く。


依光

次に、林業の振興に関連してお聞きをいたします。

高知県は、林業の振興なくして中山間地域の再生なし、中山間の再生なくして地方の活性化なしというキャッチフレーズで、林業を高知県政の中でも重要なものとして取り組んでいます。

私も同様の思いで、林業にかかわる森林組合や製材所、大工や左官など建築にかかわる方々、また建具屋さんや家具職人など、高知県の木に関する仕事をされている方々が、今後も生活をしていけるような地域づくりのお手伝いができればと思っているところです。

さて、私は来年が林業にとってとても重要な年だと考えております。それは、国の仮称森林環境譲与税と森林経営管理法のスタートを追い風に、高知県の林業を力強く成長させられるのではと考えているからです。

簡単にそれぞれ説明すると、森林環境譲与税は、市町村に森林整備や人材育成、木材利用の促進などに使える予算が配分され、森林経営管理法は、手入れができていない森林について、市町村がかかわって事業者に委託したり、管理できるというものです。

これまで林業が低迷したのは、安い外国材などの輸入により木材価格が低下したことで、木を切っても利益を生まないということが理由です。そして、このことから山主が関心を失い、手入れが進まないまま荒れ放題となっている山がふえ続けています。

そのため、林業の再生には、木を切って利益が出る仕組みづくりが必要です。特に本日はA材という、本来住宅に使われるべき一番価値の高い木の需要に関して議論させていただきたいと思います。

高知県にとって、A材が高く売れないというのは課題で、さきの9月補正では、県内中小製材業者に対してJAS認定の取得を目指した、製材品高品質化調査委託費が承認されました。

私は、この高品質化というのは世の中の流れで、必要なことだと思います。また、高知県の水系ごとに製材所があるという状況も大切です。

しかし、四万十川、仁淀川、吉野川の水系では、それぞれ認定された製材所がある中で、物部川水系だけは認定された製材所がありません。

私の住む香美市では、森林組合が2つある林業が盛んな地域でありながら、製材所の存続には不安があるというような状況です。

ウッドマイルズという、木材を輸送するエネルギーを削減して、地球温暖化を防ぎ循環型社会の構築を目指すという考え方からすれば、香美市の2つの森林組合で切った木が、より近い製材所でJAS認定がとれるというようなことが望まれますが、高知県はどういった姿を描いてJAS認定工場となるよう支援していくのか、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。

林業振興・環境部長

次に、林業振興について、どういった姿を描いてJAS認定工場となるよう支援していくのかとのお尋ねがございました。

製材業は、本県の豊かな森林から産出される原木を地域地域で加工し、付加価値をつけて県外に販売する重要な地場産業であり、中山間地域にある中小製材工場は、その地域の経済や雇用を支えています。

このため、製材業が地域地域で発展していくことが重要であると考えており、県では事業戦略の策定やその実践を支援することなどにより、中小製材工場の経営力の強化や人材育成を進めているところでございます。

あわせて、中小製材工場の主力製品である一般材の新たな需要先として、これまで余り木が使われてこなかった非住宅建築物の木造化に向けた取り組みも進めているところでございます。

今後、事務所や店舗などの非住宅木造建築物においては、大きな空間をつくることが求められることとなり、その設計に対応するには、強度や乾燥度など、品質が確かで構造計算ができるJAS製品を安定供給することが必要となります。

こうした状況の中、本県の中小製材工場においては、JAS製品や乾燥材の生産に取り組んでいる工場が少ないことから、それらの生産力を高めることが喫緊の課題となっています。しかしながら、その多くは経営規模が小さいことから、JAS製品等の生産に必要な乾燥や強度測定などの施設整備を単独で行うことは難しい状況にあります。

このため、県としては、中小製材工場が地域単位で連携し、共同で乾燥や強度測定などの施設を利用する体制が有効であると考えており、今後事業規模や採算性、運営方法などを検討し、その結果をもとに関係者と協議を行いながら、一部の工程を協業化するといったモデル施設の整備を進めていきたいと考えています。

さらに、この取り組みを検証し、県内の他の地域にも横展開することにより、県内全域でJAS認定工場をふやしていきたいと考えています。

地域地域の中小製材工場が市場ニーズに合った品質の確かなJAS製品を安定的に供給することができ、地産外商の拡大と中山間地域の活性化につなげていくことができるよう、しっかりと取り組んでまいります。

(2) 地域の製材所と建築士が連携し、地域の一般流通材を使った木造住宅の普及促進の仕組みができないか聞く。

依光

次に、今後の製材所の経営に資する建築士との連携についてお聞きをいたします。これまでの製材所は、地元の大工さんとの連携の中で、建築用材を中心に利益を上げてきました。しかし、時代の流れの中で、大手ハウスメーカーが外国産材を使って家を建てたり、あるいは建築士が地域の実情を余り考えず設計をすることで、地域で家が建つのにもかかわらず、地元の製材業者が木を供給できず、涙をのむという状況となっています。香美市においては、4つの製材事業者全てに後継者がいない状況です。

こういった状況をどうやったら解決できるかといえば、地域の需要に関してしっかりと木を供給して、利益が出せる仕組みをつくるということに尽きると思います。

例えば公共工事においては、地元産材を地域の製材所がひいて用意できることが重要です。香美市においては、集落活動センターを建てる際に、1キロしか離れていない製材所からの木が使えずに、地域外の製材所を使ったという事例がありました。この件は調べてみると、必要な材木が期日までに調達できないことから、よその製材所から材木を買ったということでした。公共工事においては、仕様書によって工事に使用される材料について指定できるのですが、高知県産材という指定であれば、香美市外の木を使ってもよいですし、別段問題ないように思
えます。しかし、地域に製材所を残すという意味では、香美市産材を香美市の製材所で加工したものというような形で発注していただきたいと思うところです。

ただ、前提は、公共工事であれば、設計者が決まった段階で、必要な材木の規格と数量がきちんと製材所や森林組合などの事業者に伝わることが重要で、そうでなければ期日までに納入することが困難となり、建物の完成がおくれることとなります。

建築士は、ただ建物をつくればよいというのではなく、材木の調達など、地域のことも考えた設計をすることが今後は重要です。

また、地域の製材所が売り上げを伸ばせないのには、在庫がないために注文に応じられず、売り上げを上げられないという現状があるのではとも考えております。

製材所にとっては、材木をストックすることは、現金化が遅くなる分、資金繰りに影響があり、また保管のための経費もかかります。しかし、災害が頻発しており、将来の南海トラフ地震への備えとして、応急仮設住宅を建設するための材木の備蓄を市町村が計画し、その備蓄を地域の製材所に委託するというのは、十分に意味があることではないでしょうか。

ことしは台風や豪雨の影響で、応急仮設住宅が全国的にも建てられました。私の知り合いの大工さんは、総社市に手伝いに行っていたのですが、板倉建築という日本の伝統構法による仮設住宅を建てたそうです。この仮設住宅は、一般社団法人日本板倉建築協会が建てたもので、東日本大震災時に建てられた福島県いわき市の仮設住宅26棟、52戸を移築再利用したものだということです。また、隣県の大洲市と西予市では、164戸の木造の応急仮設住宅が建てられています。

高知県でも、いざ南海トラフ地震となれば、仮設住宅の建設は不可避ですし、被害に遭った近県に対して、ストックした材木を送るというような支援もできるのではと思います。また、こうした取り組みは、ふだんの地域の製材所における一般流通材のストックにも資するものと考えます。

例えば木造住宅の建築による一般流通材の需要拡大を図ることにより、流通在庫としてストックすることも可能となります。そのためには、まずは地域の製材所と建築士が連携し、地域の一般流通材による木造住宅が建築される仕組みづくりが必要と考えています。

そこで、地域の製材所と建築士が連携し、地域の一般流通材を使った木造住宅の普及促進の仕組みができないか、土木部長にお聞きをいたします。

土木部長(村田重雄君)

まず、林業振興について、地域の製材所と建築士が連携し、地域の
一般流通材を使った木造住宅の普及促進の仕組みができないかとのお尋ねがございました。

地域の一般流通材の利用を促進することは、中山間地域の林業関係産業の振興に寄与するとともに、一般流通材のストック拡大により、大規模災害時の木造応急仮設住宅の早期着工も可能となるなど、南海トラフ地震対策にも役立つ取り組みと考えております。

県では、県内で必要な木材がそろわないといった事態を防ぎ、県産材の利用促進につながるよう、これまでも県の大規模な木造建築物を建築する際には、関係団体に対して事前に、必要な木材に関する情報提供を行ってきたところでございます。

今後は、この取り組みを小規模な建築工事にも広げ、地域や流域単位で製材所、建築士、建築関係事業者が意見交換を行い、連携を強化する場を設けるなど、地域の一般流通材を活用した木造住宅の普及促進のための仕組みづくりを研究してまいります。

(3) 来年度から市町村に配分される仮称森林環境譲与税を活用して、地域の木材利用を進めていくためには、どのようなことが考えられるのか聞く。

依光

次に、地元材利用に向けた仮称森林環境譲与税の活用についてお聞きをいたします。

林業、木材産業から工務店なども含めた地域産業の振興を図るためには、地域の山で生産した原木を地元の製材事業者がひいて、その地域の材を使って建築することが重要だと考えます。

そこで、来年度から市町村に配分される仮称森林環境譲与税を活用して地域の木材利用を進めていくためには、どのようなことが考えられるのか、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。

林業振興・環境部長

次に、仮称森林環境譲与税を活用して地域の木材利用を進めていくためには、どのようなことが考えられるのかとのお尋ねがございました。

仮称森林環境譲与税は、本年5月に成立した森林経営管理法の施行にあわせて創設されるものであり、主として市町村が新たな法律に基づいて実施する、経営管理が行われていない森林の整備等の財源に充当されることになるものと認識しています。

昨年12月に閣議決定された平成30年度税制改正大綱では、仮称森林環境譲与税の使途として、市町村が行う間伐や人材の育成、担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発など、森林整備及びその促進に関する費用に充てることとされています。

地域の木材の利用促進に向けて、仮称森林環境譲与税を活用する取り組みとしましては、例えば公共建築物に地域の木材を利用して木造化、木質化を図ることが考えられます。この取り組みは、木材の利用量をふやすことにつながりますとともに、その施設を利用する多くの皆様に木のぬくもりなどの木のよさに触れていただくことができ、木材利用の普及啓発にもつながり、地域の木材の利用促進に大いに効果があると考えています。

また、このように地域の木材を利用することが、地域の森林整備の促進につながり、ひいては地域の森林環境の保全につながるということを地域の皆様に御理解していただくような森林環境教育などの普及啓発に同税を充てることも、地域の木材の利用促進には有効であると考えています。

(4) 本県の伝統的な職人の技術を残すために、どのような支援があるのか聞く。

依光

次に、大工の技術の継承についてお聞きをいたします。

私は、高知の魅力的な景観は、高知県の強い日差しや台風などから家屋を守り、高温多湿の季節にも快適に過ごせる、すぐれた伝統的木造建築の家々が貢献していると思っております。

そんな高知独自の家々は、先ほども述べたとおり、大手ハウスメーカーの進出などにより、新たに建設されることはまれで、国勢調査のデータでは、大工、とび職、ブロック積・タイル張従事者、屋根ふき従事者、左官という一般住宅にかかわる職人の総数は、平成12年に8,347人だったのが、10年後の平成22年で4,620人とほぼ半減し、技術を持った大工を初めとする職人は数を減らしております。

大工の技術が生きる伝統構法というのは、真壁といって木の美しさが目に見える工法です。昔の方は木の美しさなどを見る目があり、美しい木目の柱を見て大工の技術を評価してくれましたし、職人の賃金も高かったのだと思います。

一方で、大手メーカーの大壁は、軸組工法とはいっても、柱などの木がボードに隠れて見えず、付加価値の高いA材の需要には結びつきません。

若い女性などが古民家のカフェなどで木の美しさを評価してくれていることは、希望ではありますが、新築の伝統的木造建築物が建たない現状では、古民家を維持しながら技術を守っていくことがやっとです。

南海トラフ地震に備えて建設業の活性化プランがつくられ、建設業が守られているのと同じように、一般住宅に関する職人の仕事をつくっていくことも、いざというときのために重要ではないかと考えます。

そこで、高知の伝統的な職人の技術を残すためにどういった支援があるのか、商工労働部長にお聞きをいたします。

商工労働部長(近藤雅宏君)

まず、本県の伝統的な職人の技術を残すための支援についてお尋ねがございました。

議員のお話にありましたように、本県の大工や左官などの建築系人材につきましては、職人の高齢化や後継者不足により、伝統的な工法や技術の継承が難しくなってきております。

建築系人材の育成につきましては、伝統的な木造建築の知識や技能を学ぶため、中村高等技術学校において、木造建築科や左官・タイル施工科を設置し、本県の建築産業の未来を担う技能者を育成しています。しかしながら、近年は少子化や中高生の進学率、就職率の向上などにより、中村高等技術学校への入校生は減少傾向にあります。

こうしたことから、昨年度、幡多地域では市町村、商工会議所、建築関係団体等と中村高等技術学校が連携をして、後継者不足が懸念される建築系人材の育成について協議をいたします、幡多地域建築系人材育成推進協議会を立ち上げまして、地域の方々とともに、学校や移住者へのPR活動を行うとともに、キャリアパスを取り入れた学校説明パンフレットを作成するなど、人材の掘り起こしから育成、就職まで、一体的な取り組みを進めております。

その中で、現在の一戸建て住宅では左官の仕事は少なくなってきており、左官業だけでは仕事が成り立たない現状があることから、これからは大工、左官などの技術に加えて、型枠施工や鉄筋施工など複数の技術を習得した多能工の育成に取り組み、就職につなげることが重要との意見がございました。

県としましてはこうした意見を踏まえ、来年度から中村高等技術学校のカリキュラムを一部見直し、建築現場の第一線で活躍されている技能者を講師に招き、現場で求められる多能工の育成に向けた訓練を実施するよう計画しております。

また、訓練修了後も、後継者として地域への定着につながるよう、協議会とも引き続き連携をし、確実に就職につなげるための企業とのマッチングや、就職後の在職者訓練によって技術のさらなるアップを図るなど、伝統的な職人の技術が継承していけるように、地域の皆様とともに支援をしてまいります。

(5) 本県における「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」の附帯決議に関する議論について聞く。

依光

次に、気候風土適応住宅の認定のガイドラインについてお聞きをいたします。

私は、平成27年に制定された、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律については、大手メーカーにとって有利な工法となり、伝統的な技術で仕事をしている大工にとっては、非常に厳しい法律であると感じております。世の中の流れとして、環境に優しい家とは、気密性が高く、暖房や冷房で温度調整をするというもので、日本の伝統的な、風通しをよくし、夏の日差しを遮る深いひさしなどというものは無視されました。

また、効率よく気密性を高めるには、柱が見えない大壁の家となり、結果、A材のようなよい木の需要を減らす結果となります。

ただ、附帯決議において、戸建て住宅を含めた小規模建築物の義務化に向けて、地域の気候風土に対応した伝統的構法の建築物などの承継を可能とする仕組みを検討することとされたことを踏まえ、高知県では建築士会や住宅課の皆さんで、伝統構法や大工などの職人に配慮した形で議論を進めていただいているということで、頼もしく思うところです。

そこで、高知県における附帯決議に関する議論について土木部長にお聞きをいたします。

土木部長

次に、本県における、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の附帯決議に関する議論についてお尋ねがありました。

現在、住宅を除く延べ床面積が2,000平方メートル以上の大規模建築物は、新築時等にエネルギー消費性能基準への適合義務が課せられ、延べ床面積が300平方メートル以上の中規模建築物には、届け出制度による努力義務が課せられております。

さらに今後、2020年以降に、住宅を除く延べ床面積が300平方メートル以上の中規模建築物については、適合義務が課せられる見通しでありますが、一般の住宅につきましては、適合義務は見送られる予定です。

一方で、附帯決議を踏まえた省令では、地域の伝統的構法などを用いた住宅であるため、外気に接する建築部材の断熱基準などに適合させることが困難であると所管行政庁が認めるものについては、気候風土適応住宅として緩和された基準が適用されることとなっております。このため、公益社団法人高知県建築士会等の協力を得ながら、高知県の建築素材と伝統的構法の要素を抽出し、気候風土適応住宅の仕様について検討しています。

また、伝統的構法を用いても断熱性能を向上させる方法を図解した冊子を取りまとめるなど、消費者が伝統的構法を選択した場合でも快適に過ごせるような取り組みを進めてまいります。

(6) 林業はもちろん市町村や県庁各部局でも活用できる航空レーザー測量によるデータ収集について、本県の山林全域での測量を行ってはどうかと考えるが、所見を聞く。

依光

次に、森林整備に関することについてお聞きをいたします。仮称森林環境譲与税の本来の目的は森林整備であり、森林経営管理法を活用して効率的に森林整備が行われることが望まれます。

私は、森林整備について効果があるのは航空レーザ測量だと考えていて、平成27年2月定例会でも取り上げ、森林経営計画策定を効率化し、森林組合などの事業者の負担軽減を図る取り組みとして御質問させていただきました。答弁としては、航空レーザ測量、ドローンによる森林測量など、新しい技術に対する知見の習得に努め、活用方法などを検討していきたいとのことで、現在その活用が検討されていると思われます。

現在、先進地では地籍調査などへの活用はもちろんですが、収益を上げる山にするための森林整備という観点で、航空レーザ測量が活用されています。収益性を最大限に高めるために、どういう管理計画を立て、どういう路網を整備すれば収益が上がるか、また伐採前にシミュレーションをして事前に収益を予測するなどの活用方法です。

私は、先月山形県の金山町森林組合にお伺いをいたしました。航空レーザ計測による林業成長産業化に向けたICT林業という内容でお聞きをしたのですが、航空レーザ測量によって得られる情報である航空写真、赤色立体地図、レーザ林相図の3つについて、具体的な活用方法をお聞きしました。

赤色立体地図というのは、簡単に言えば木のない裸の土地のデータで、立体模型のように見える図面です。この図を見れば、山に降った雨がどのように流れるかや、作業道をどのようにつければ効率的で壊れにくいかなど、素人でも直感的にわかるものとなっています。

レーザ林相図は、木の位置、木の高さ、木の太さ、材積について1本ずつあらわします。誤差は、20メートル掛ける20メートルの400平方メートル当たり、高さは1.2メートル、太さは2センチ、本数で1.5本ということで、驚異的な精度です。

こうして得られた高い精度の資源情報を使い、業務の効率化と生産性の向上を実現しています。例えば路網計画の集材範囲に入る杉の本数は3,000本、A材はこれだけの量がとれる、B材はこれだけの量というように、種類ごとの木の量が事前にわかるため、バイオマス用にこれだけ売れて、これだけの売り上げが上がるというように、収益を事前に計算できるのです。

この航空レーザ測量について、高知県と市町村、そして森林組合連合会が合同で、高知県の山林全てを計測できないかと思います。概算費用は、高知県の民有林面積約46万9,000ヘクタールに要する航空レーザ測量経費と、杉、ヒノキ等の人工林面積約29万5,000ヘクタールの森林資源解析に要する経費を合わせて、17億8,000万円程度になると見込まれています。

このデータは、林業で使う場合は15年に1回のサイクルで回すべきということですが、林業だけではなく、土木事務所や地籍調査事業、災害復旧事業の早期着手支援など、県庁横断的に活用できるデータです。

そこで、林業はもちろん、市町村や県庁各部局でも活用できる航空レーザ測量によるデータ収集について、高知県の山林全域での測量を行ってはどうかと考えるが、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。

林業振興・環境部長

次に、航空レーザ測量について、本県の山林全域で行ってはどうかとのお尋ねがございました。

航空レーザ測量は、森林資源の把握を初め、治山事業や林道等の路網計画などへの活用が可能であることから、本県においても導入について検討を行ってまいりました。

そのような中、平成30年7月豪雨によって甚大な被害を受けた本県、愛媛県などにおいて山腹の崩壊箇所等を把握するため、林野庁が航空レーザ測量を実施することとなり、そのデータは本県に提供していただけることになりました。

今後、県では提供を受けたデータを活用して、森林資源の解析を行い資源量を把握し、森林施業の集約化に向けた取り組みを進めていきたいと考えています。

また、治山事業や路網計画に活用するため、県内全域についての詳細な地形図の作成などを行う予定であり、これらの情報は、効率的な森林施業や災害復旧を初め幅広い業務で活用できることから、庁内はもとより、市町村、林業事業体などにも提供していきたいと考えています。

あわせて、これらの情報は、来年度から始まる森林経営管理法に基づく新たな森林管理システムにおいても大いに活用できるものであることから、市町村や林業事業体が効果的に活用できるよう、これらの情報の取り扱い方の周知などもしていきたいと考えています。

県としましては、このように航空レーザ測量によるデータを十二分に活用し、本県の森林の保全と原木の増産にしっかりと取り組んでまいります。

(7) 本県の森林管理に関するICT技術の利活用の状況と今後の取り組みについて聞く。

依光

次に、森林管理に関する情報技術の現場活用についてお聞きをいたします。

さきの金山町森林組合の事例では、ICT技術の導入ということで、タブレット端末を用いてデータの収集と共有を実施し、森林GISとの相互連携により、労務管理などでも高い生産性を上げています。

また、ドローンとGIS情報の連携により、木の伐採後の状況の把握などについて、作業時間の大幅な短縮なども実現しました。

印象に残ったのは、自前でシステムをつくるのではなく、例えば農業などで使われているスマートアプリなどを活用して、費用対効果と技術革新、バージョンアップを意識しながら独自に工夫しているというお話です。

そこで、高知県の森林管理に関するICT技術の利活用の状況と今後の取り組みについて林業振興・環境部長にお聞きをいたします。

林業振興・環境部長

次に、本県の森林管理に関するICT技術の利活用の状況と今後の取り組みについてお尋ねがございました。

ICT技術の利活用を推進して、森林資源の適切な管理やサプライチェーンマネジメントの最適化に役立てることは、林業の成長産業化を進める上で重要な取り組みであると考えています。

県内におけるICTを活用した取り組みとしましては、佐川町が航空レーザ測量による精度の高い森林資源情報をいち早く取り入れ、森林の集約化や効率的な作業道の開設に役立てており、今後インターネット環境下で閲覧できるよう取り組みを進めています。

また、香美市では、作業現場において作業員が転倒し、動けなくなるなど危険な状態に陥ったことをスマートフォンが感知し、自動的に管理者などに知らせる仕組みや、現場ごとの原木の生産状況などを事務所とリアルタイムで共有する仕組みを構築する取り組みを進めているところです。

さらに、昨年度、林業の成長産業化に向けたモデル的な地域として選定された高吾北地域において、仁淀川町、佐川町、越知町の3町が連携し、ICT技術を取り入れて、木材の需要と供給のマッチングが可能となる仕組みづくりを目指した取り組みを進めているところです。

このように、林業現場におけるICT技術に対する取り組みは始まったばかりであり、林業関係者に広く関心を持っていただくことが必要であると考えています。

県としましては、県内の先行的な取り組みをしっかりと支援するとともに、県外の先進企業と連携した講演会の開催や、林業大学校におけるカリキュラムの充実などにより、ICT技術を利活用する取り組みを拡大していきたいと考えています。

今後は、森林資源情報の活用や原木生産現場における進捗管理、川下からのニーズに対応できる安定供給体制の構築など、あらゆる段階におけるICT技術の導入に向けた取り組みを推進することにより、森林施業の効率化、省力化や、需要に応じた高度な木材生産等が可能となるスマート林業の実現を目指して取り組んでまいります。また、そうしたことにより、若者や高齢者がさらに活躍でき、女性も参入しやすい職場環境づくりも期待できるのではないかと考えています。

(8) 市町村における林地台帳の効率的な活用と更新を進めるための支援について聞く。

依光

次に、林地台帳についてお聞きをいたします。

森林整備についての課題は、森林所有者の把握と境界の確定です。このことについては、市町村が森林所有者や境界情報を一元的に取りまとめ、林地台帳を作成することとなっています。

このため、県では、市町村にかわって林地台帳の原案を作成し、市町村が林地台帳共有システムを活用することで、この4月から林地台帳制度の運用が始まったとお聞きしています。

しかし、多くの市町村では、林務に携わる職員は限られており、林地台帳共有システムの操作にふなれなことから、林地台帳の情報を十分生かし切れていないのではないかと懸念するところです。また、森林所有者情報については、相続の発生などにより森林所有者がかわるたびに更新する必要がありますが、市町村のマンパワー不足により、更新に支障が生じる場合が考えられますので、林地台帳の円滑な活用や森林所有者情報の更新には、県による市町村の支援体制が必要であると考えています。

そこで、市町村における林地台帳の効率的な活用と更新を進めるための県の支援について林業振興・環境部長にお聞きをいたします。

林業振興・環境部長

次に、市町村における林地台帳の効率的な活用と更新を進めるための支援についてお尋ねがございました。

林地台帳制度は、国の統一的な基準に基づき、森林所有者や林地の境界などに関する情報を、市町村が林地台帳として整備し、森林組合や林業事業体に提供することにより、森林施業の効率的な集約化の推進を図ることを目的として、平成28年5月の森林法の改正により創設されたものでございます。

林地台帳につきましては、森林法の規定により平成31年3月31日までに整備することとされているところ、本県では、森林簿の情報と法務局から取得した登記簿情報をもとに林地台帳の原案を作成するとともに、林地台帳共有システムを整備し、総合行政ネットワークを通じて市町村に提供する仕組みを構築することにより、全国に先駆けて本年4月から運用をスタートさせています。

市町村における林地台帳の効率的な活用に向けましては、その運用の開始前に市町村職員に対して、林地台帳共有システムの基本的な操作や、森林所有者、森林の位置等の検索方法などについての研修会を行いますとともに、本年4月からの運用開始後も、林地台帳の運用や改善点等についての意見交換会を開催し、林地台帳が効果的に活用されるよう取り組んでいるところです。

あわせて、林業事業体に対しても、林地台帳制度の趣旨や林地台帳の活用方法等を周知するため、県内3カ所で説明会を開催いたしました。

その結果、市町村における林地台帳の利用件数は、第1・四半期に365件であったものが、第2・四半期には768件となるなど、着実に浸透してきております。

また、林地台帳で管理している森林所有者情報の更新につきましては、法務局から市町村に通知される所有権移転等の登記情報と、平成24年4月1日以降の固定資産税課税台帳の納税義務者情報が利用できますので、これらの情報を速やかに林地台帳に反映できるよう、林地台帳共有システムの改修を行うことを計画しているところでございます。

県としましては、市町村や林業事業体に林地台帳を効率的に活用していただき、来年度から始まる新たな森林管理システムの円滑な運用と、森林施業の集約化の促進による原木生産のさらなる拡大につなげていきたいと考えています。

(9) 森林経営管理法を活用して森林所有者、境界の明確化を進めていくことにより、災害に強い健全な森づくりにつながるとともに、災害時に緊急に必要となる迂回路などの整備にも迅速に対応できると考えるが、所見を聞く。

依光

次に、災害復旧に備えた市町村の森林管理についてお聞きをいたします。

森林経営管理法では、管理されていない山林に関して、市町村がかわって管理することができることとなっております。

このことにより、これまでは所有者と連絡がとれないことで効率的な路網がつくれず、非効率な森林管理だったのが、市町村が所有者にかわって路網整備を進めることにより、効率的な森林管理ができることになります。

また、先般の豪雨災害のときには、被災した道路の迂回路を整備しようとしても、所有者が不明で対応できなかった事例もあると聞いています。

このため、収益性の高い管理されていない森林はもちろんですが、災害が繰り返し発生している地域では、市町村が積極的に管理をして災害に強い森づくりを進めるとともに、所有者、境界の明確化の作業を進めて、災害時の迂回路整備などの際にも、迅速に所有者の承諾が得られるようにしておくことも必要ではないかと考えます。

そこで、森林経営管理法を活用して、森林所有者、境界の明確化を進めていくことにより、災害に強い健全な森づくりにつながるとともに、災害時に緊急に必要となる迂回路などの整備にも迅速に対応できると考えるが、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。

林業振興・環境部長

最後に、森林経営管理法を活用して、森林所有者、境界の明確化を進めていくことにより、災害に強い健全な森づくりにつながるとともに、災害時に必要となる迂回路などの整備に迅速に対応できるのではないかとのお尋ねがございました。

来年度から施行される森林経営管理法は、森林所有者に適切な森林の経営管理を促すため、その責務を明確化し、経営管理が適切に行われていない森林については、森林所有者に森林の経営管理を市町村に任せるかどうかの意向を確認する調査を、市町村が主体となって行うこととなっています。

この森林経営管理法においては、不明となっている森林所有者の探索や境界の明確化などの取り組みを進めていく必要があり、その際にはどの地域を優先して意向調査を行っていくのかは、地域の実情に応じて市町村が判断していくこととなりますので、山地災害防止の観点から調査地域を選定することも選択肢の一つであると考えています。

議員のお話にありましたとおり、災害が繰り返し発生している地域において、所有者の探索や境界の明確化を行い、森林経営管理法に基づく意向調査などの取り組みを進め、適切な森林整備を推進することは、災害に強い森づくりにつながるものと考えています。

また、こうした取り組みによって所有者や境界が明らかとなり、市町村が林地台帳でこれらの情報を管理していけば、災害時に迂回路などの用地として使用することが必要になった場合でも、所有者の承諾を得る際に迅速な対応が可能になると考えています。

県としましては、さまざまな地域の実情に応じて市町村が円滑に森林経営管理制度を運用していけるよう、積極的に支援してまいります。

4 商工会、商工会議所の補助金返還について

(1) 本県にとって地域の商工事業者が果たしてきた役割についてどのように評価しているのか聞く。

依光

次に、香美市商工会、南国市商工会、須崎商工会議所、土佐清水商工会議所への小規模事業経営支援事業費補助金の交付決定の一部取り消し問題についてお聞きをいたします。

昨年12月の商工農林水産委員会にて、須崎商工会議所に続き新たな補助金の不正受給が判明ということで報告があり、2つの商工会、1つの商工会議所が不正受給判明として、マスコミ各社に大きく報道されました。

私は、このことは高知県政にとって大きな事柄であると考えており、香美市商工会のことを例に、高知県の商工事業者支援の問題点についてお話をします。

現在の仕組みでは事務局長や経営指導員は、高知県の補助金交付要綱によって、小規模事業者数や組織率、会員1人当たりの平均会費によって、設置定数や設置可否が決められています。

香美市商工会は、平成24年度から平成28年度の組織率が50%を切っていたことが判明ということで、5年間分の2,245万円を県に返還しました。

そもそも香美市がなぜ50%を切ることになったかといえば、例えば銀行は旧町村に1つで数えるのではなく、香美市で1つだということでマイナス2であるとか、観光協会や福祉作業所は商工業者でないなど、基準に基づき普通会員、定款会員、特別会員の数を精査した結果、事業者が減ったことにより割り込んだのでした。このことは、商工会、高知県商工会連合会、高知県経営支援課の中で、適切な運用を行うための明確な基準が共有されてこなかったことに原因があるものと考えられます。この明確な基準が共有されてこなかったことが原因というのは、障害者雇用に関する法定雇用率を達成していなかったという全国事例を見ても、よくあることなのかもしれません。

この事案の発覚の後に、高知県商工会連合会は、商工会の将来像とその実現に向けた提言書をまとめ、1、全商工会への事務局長設置、2、補助対象職員人件費の全額補助金化、3、記帳専任職員退職不補充の撤廃と記帳指導員の謝金
単価の引き上げ、4、職員採用及び給与体系の見直しの4点について、提言を行っております。

そこでまず最初に、高知県にとって、地域の商工事業者が果たしてきた役割についてどう評価しているのか、知事にお伺いをいたします。

知事

最後に、本県にとって、地域の商工事業者が果たしてきた役割についてどのように評価しているのか、お尋ねがありました。

地域の商工事業者の皆様には、生産、販売、サービスなどの事業活動を通じて、経済の活性化や雇用の創出など、地域経済において重要な役割を担っていただいております。日常生活に欠かすことのできない食料品の販売やガソリンスタンドの営業などで、人々の暮らしを下支えしていただくとともに、農林水産品や観光素材など地域の特色ある資源を生かした、産業の創出や交流人口の拡大を通じて、地域社会の発展に大きく貢献してもいただいております。また、イベントや伝統行事など地域の活動に取り組まれる中で、活力の担い手としての役割を果たされますとともに、日々の防犯活動や災害時の協力など、安心・安全の社会生活の実現においてもなくてはならない存在であります。

このため、県としましては、商工会・商工会議所など関係機関とも連携し、地域の商工事業者の経営計画の策定など、経営基盤の強化をお手伝いさせていただくとともに、商店街の振興にも取り組み、あわせて喫緊の課題であります事業承継や働き方改革への対応なども全力で支援させていただいているところです。

本年度からは、商工会・商工会議所の経営指導員のサポートを行う経営支援コーディネーターを県内5カ所に新たに配置するなど、経営計画の策定、実行の支援体制を充実させたところであり、本年度の計画策定件数は11月末現在で491件となっており、既に昨年度を超える策定件数となっております。

また、商工会等に限ったものではありませんが、今年7月には事業承継ネットワークを立ち上げて、事業者の皆様の事業承継にかかわる診断を10月末までに532件行うなど、取り組みを強化しております。

こうした中、昨年度、商工会、商工会議所の補助金返還事案が発生しましたことは、故意に数字を操作するといった極めて悪質な事案もあり、大変遺憾に思っております。

他方で、その背景として、小規模事業者数の減少など取り巻く環境の変化もあったものと考えられたため、補助要件などの緩和も今年度一部行ったところであります。

来年度に向けましても、高知県商工会連合会からの提言なども踏まえ、見直しを検討してまいりたいと、そのように考えているところでございます。

私からは以上でございます。

(2) 補助金を返還することとなった2つの商工会議所、2つの商工会の財務状況については、補助金返還のために借金をするなど、今後の組織運営に影響が出ているのではないかと考えるが、どのように認識しているのか聞く。

依光

次に、補助金を返還することになった2つの商工会議所、2つの商工会の財務状況については、補助金返還のために借金をするなど、今後の組織運営に影響が出てきているのではと考えるが、県としてどう認識しているのか、商工労働部長にお聞きをいたします。


商工労働部長

次に、補助金を返還することとなった商工会議所、商工会の財務状況や組織運営への影響についてお尋ねがございました。

補助金の返還を受けました2つの商工会議所と2つの商工会の4つの団体からは、法令等への違反があったことなどへの真摯な反省に立って、それぞれ再発防止や信頼回復に向けた行動計画を柱とした改善計画書の提出がなされています。

改善計画の実行に当たっては、補助金の返還に伴い、やむを得ず借り入れを実行した団体が1つあるほか、各団体は自主財源で事務局長を置いていることなどから、財務状況にも一定の影響が出ています。イベント経費を節約するなど、事業への影響も一部みられるほか、退職給与積立金の一時的な取り崩しや人件費のカットに踏み切る団体もあるなど、身を切る努力をしていただいています。

このような中でも、それぞれの団体は積極的に改善計画の実行に取り組み、大幅に増加している経営計画の策定や、喫緊の課題となっています事業承継や働き方改革などに前向きに取り組んでいただいており、徐々に会員数も増加するなど、よい結果も出始めています。

しかしながら、人口の減少や廃業の増加などにより、ことしに入り補助金の交付要件である組織率50%を達成した団体は1団体となっており、3つの団体については組織率は依然達成できていない状況です。

県としましても、各団体の取り組み状況を引き続き把握し、地域の商工業者にとって魅力ある組織として活躍いただけるよう助言・指導するとともに、支援のあり方を検討してまいります

(3) 高知県商工会連合会が提言で示した4つの項目について、どのように考えるのか聞く。

依光
また、高知県商工会連合会が提言で示した4つの項目についてどう考えるのか、商工労働部長にお聞きをいたしまして、私の第1問といたします。

商工労働部長

最後に、高知県商工会連合会が提言で示した4つの項目についてお尋ねがございました。

高知県商工会連合会からは、平成30年10月25日付で、商工会の将来像とその実現に向けた提言書を受け取っております。その趣旨は、法令遵守等コンプライアンスをしっかりと守るとともに、地域に信頼され、地域経済の活性化に寄与する団体を目指すという強い覚悟のもと、人口減少や小規模事業者数の減少など地域の実情を踏まえ、県の補助制度等の内容の変更を提言するものと理解をしています。

県の補助制度の見直しについては、小規模事業者の減少などの実態を踏まえ、本年度から経営指導員の補助要件について設置基準の見直しを行ったところでございますが、今回大きく4つの項目について提言をいただいております。

1つ目の事務局長の設置に関しましては、全国チェーン店の進出などにより商工業者の質も変化している中で、一律に組織率を補助の要件とすることは実態に即していない面があると考えています。そのため、商工会等が組織や地域のそれぞれの実情に応じて配置ができますよう、来年度に向けて見直しを検討しているところです。

補助対象職員人件費の全額補助金化、記帳専任職員退職不補充の撤廃と記帳指導員の謝金単価の引き上げ、職員採用基準と給与体系の見直し、この3つの項目につきましても、それぞれ商工会等の財務基盤や指導力の強化、職員のモチベーションの向上等に効果があるものと考えておりますが、全てを実施することは多額の補助金が必要となりますことから、今後さらに検討を深めてまいりたいと考えています。

また、この間の県の商工会等に対する監査や指導におきまして、最も基本となる会員数や組織率の問題を見過ごしてきましたことは、県としましても大きく反省するべき点でありまして、本年度から、監査職員の監査能力の向上のための研修の実施、効率的な監査のための事前提出資料の内容の充実、高知県商工会連合会との合同監査、そういったことなどで監査体制の見直しを行い、強化を図ったところでございます。

今後とも、地域の商工業者にとりまして、商工会等の果たすべき役割はますます重要となってきますことから、商工会連合会との連携も強化し、地域経済の発展に向けて取り組んでまいります。

16番(依光晃一郎君)

質問はありませんが、最後に商工会、商工会議所の補助金返還について、知事からは、地域の中小企業が公共を担っておるというようなお話もいただきました。県として補助金を出しているところから、指導ということはわかるんですけれども、商工事業者はそれなりに地域のことを考えて頑張っている。

そこを伴走というか、横に立ってやっていただきたいという思いがあって、今回の件に関しては、ちょっと問題があるんではないかなと私自身は思っています。ただ、前向きな御答弁もいただいたと思うんで、今後地域の商工事業者、あるいは商工会、商工会議所がしっかりと地域を支えていく、そこを伴走というか、支えていただきたい。それを私のほうから要請させていただきまして、一切の質問といたします。ありがとうございました。

(拍手)

○議長(土森正典君)
暫時休憩いたします。

午後0時休憩


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