人材育成 移住促進 生涯スポーツ 平成24年9月定例会 一般質問
(一括質問を、一問一答の形に編集しております。答弁の後は、依光の質問になります。)
○議長(武石利彦君)
休憩前に引き続き会議を開きます。議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。9番依光晃一郎君。
(9番依光晃一郎君登壇)
◆9番(依光晃一郎君)
お許しをいただきましたので、早速質問させていただきます。
第2期産業振興計画は知事のリーダーシップのもと、10年後の成功イメージを「地産外商が進み、地域地域で若者が誇りと志を持って働ける高知県」という言葉を打ち出しました。高知県民の多くが共感したすばらしいキャッチフレーズではないかと思います。私自身も共感した一人なのですが、誇りと志を持って働ける高知県ということにつきまして、日ごろから感じていることを少し前置きとしてお話しさせていただき、その後質問させていただきます。
高知県に生まれた子供が義務教育を受け、高校や大学を卒業して社会に出ていきます。親御さんの思いは、子供たちに豊かで幸せな人生を送ってもらいたい。そして、幸せな人生を送るためによい仕事を選んでもらいたい。また、子供たちも社会に出るに当たって、社会の役に立ちたい、親を安心させたい、そういう希望を持って将来を描いていると思います。今回の誇りと志を持って働ける高知県という言葉に、県民の多くが共感したのには、私は2つの意味があると思っていまして、1つは、より高知県を発展させたいという希望であることは間違いありませんが、もう一つは、現状の高知には若者が誇りを持って働けるところがない。このままではいけない。また、もしかしたら、今の仕事の先行きが見えず、夢を持って働けない、何とかせねば、そういうことではないかと思います。
昨年6月に質問させていただいた際に、県外の大学に進学した学生で、高知に戻ってきて就職する学生は2割に満たないという御答弁をいただきましたが、この数字は理想と現実の差の大きさをよくあらわしていると思います。現在の不安を未来への希望に変えるには、現状をきちんと認識した上で、今は苦しいけれど、希望に向かって進んでいくという県民運動にならなければと思います。東日本大震災では、大きな津波により何もかもなくなってしまった土地がたくさんあります。そんな中、受け継いできた文化を守るべく頑張っている人たちがたくさんいます。そういった人たちは、よその土地でより稼げる仕事という選択肢がもしかしたらあるのかもしれません。しかし、困難を承知で誇りと志を持ち、地域地域で仕事をつくり出そうとしています。被災された方々がその土地の復興を目指して頑張っている姿を見ると、働くということには都会と比べて給料がどうかということとは違った次元での働き方があることを教えてくれます。
1人材育成について
(1)県の人材育成への意欲
そこで、第2期産業振興計画の10年後の成功イメージである「地産外商が進み、地域地域で若者が誇りと志を持って働ける高知県」実現のために、若い人材に高知を選んで働いてもらうための働きかけや仕組みづくりについて、県としてどのような対策を行っているのか、また若者に対してどのようなメッセージを送りたいと考えているのか、知事にお聞きをいたします。
(知事尾崎正直君登壇)
◎知事(尾崎正直君)
依光議員の御質問にお答えをいたします。
まず、第2期産業振興計画で掲げる10年後の成功イメージを実現するため、若い人材の確保策や若者に対してのメッセージについてお尋ねがございました。若者たちに一人でも多く高知を選んで働いていただくためには、当たり前のことではありますけれども、まず何といっても大事なことは、志を持って打ち込める魅力ある仕事をこの高知にたくさんつくるということが非常に重要だと思います。産業振興計画を通じてまさにこのことを目指していこうとしておるわけでありますが、そのため、第2期計画では、10年後の成功イメージを全体として掲げさせていただくことにとどまらず、各産業成長戦略におきましても、例えば農業分野では、地域で暮らし稼げる農業、林業分野では、山で若者が働く、全国トップ3の国産材産地、水産業分野では、若者が住んで稼げる元気な漁村、商工業分野では、ものづくりからの雇用拡大と地域のにぎわいといった目指す姿をそれぞれ掲げまして、また数値目標も掲げまして、これらの実現に向けまして全庁挙げて若者が志を持って打ち込める魅力ある仕事づくりに取り組んでいるところでございます。
産業振興計画の取り組み、非常に果敢、広くいろんな取り組みをしておるわけでございますけれども、その最終的な目的というものについて、若者にとって志をかけるに足る、人生をかけるに足る仕事をたくさんつくり出そうということを共通の目標として取り組む、そういうことで方向感を合わせようとしているところでございます。まず、これが第1であります。
第2に、志ある若者の挑戦、チャレンジを応援するためのさまざまな仕組みを整えようとしております。具体的には、特に第2期計画では、全国一学びの機会が多い県、全国一サポート体制が整った県、これを目指すことを掲げまして、学びの段階から事業化までの多様なサポートを行う、こういう仕組みを整えようとしておるわけでございます。少し具体例を申しますと、本年度から産学官の連携による産業人材の育成研修、土佐まるごとビジネスアカデミーを開設するなど、学びの場の一層の充実を図っておるところでございまして、全国一若者の学びの機会が多い県を目指したいと思っているところです。
また、事業化に向けましては、ビジネスの初期段階を支援するステップアップの補助事業から、地域アクションプランに位置づけての総合的な支援、さらには志ある事業者の皆さんのビジネスプランを応援する土佐の産業おこし参加プラン制度まで、全国的に見ても先駆的ではないかと思うようなさまざまな仕組みづくりに挑戦をしております。若い方々が新たな挑戦をする際、まず学ぶ、そのことを応援をする。そして、事業化を行おうとする次の段階においては、それぞれの段階に応じた支援が行える、そういう体制を整えようとしておるところでございます。
第3の点として、高知にありますさまざまな魅力ある仕事の創出や、高知にありますさまざまな強みのある産業について、県内外に情報発信をして知っていただくということもまた必要であろうと、そのように思っています。さまざまな機会を通じまして強みのある県内産業の情報発信を行いますとともに、新たに県外大学との就職支援協定によりまして、県外に進学した大学生への県内企業の情報提供を充実することとしております。加えまして、第2期産業振興計画の次の改定に向けまして、移住促進による経済活性化を新たなテーマの一つとしまして、本県で暮らす魅力を積極的に発信する方策等について今後検討を深めることとしておるところです。
本県、全国に先行して人口自然減や高齢化が進んでおりまして、多くの課題を抱える課題先進県でありまして非常に厳しい中にありますが、全国に先駆けて解決に向けた処方箋を示すことのできる可能性も有しておるのが課題先進県であると思っております。このため、課題解決先進県を目指しまして、産業振興計画や日本一の長寿県構想などを通じまして、さまざまな困難な課題に正面から挑戦していることを、志ある若者にアピールをしながら、この厳しい時代を切り開く同士として我々とともに課題解決に取り組んでいこうと訴えかけていきたいと、そのように考えているところであります。
(2)高知県の転入・転出の世代間の違いについて
○依光
次に、県の政策上扱う統計データと指標についてです。県では今PDCAサイクルの取り組みにおいてさまざまなデータを利用していますが、もう少し工夫ができないかと考えます。人口問題においても、高知県は全国で最初に自然減となり、社会増減に関しても平成12年以降はずっとマイナスが続いています。このことはよく知られていますが、私はもう少しわかりやすい指標で県民と課題の共有をすべきでないかと思います。そのためには、生まれ年ごとの人口増減の変化を見ることが有効で、出生数を分母に、高知在住者を分子にとり、これを百分率であらわして、生まれ年ごとに分析し、公表してはと思います。不慮の事故や病気など年齢が高くなるごとに人口は減っていきますので、分母の数字は全国の人口統計で減った分と同じ割合を減していくことで、社会増減だけを示す指標がつくれます。
使い方として、例えば学校の同窓会などで、我々昭和52年生まれは◯◯年生まれよりも県外流出が10ポイントも高いみたいだね。高知を盛り上げるために、今度高知に帰りたいと言っていた友人に仕事を探してやろうよというような話になれば、草の根のUターン支援になると思います。また、これは生まれ年ごとの地域間人材獲得競争にも読みかえられるので、ライフステージのポイントでUターン者を高知に呼び戻す際の目標設定、例えば子供さんが小学校に上がることに合わせて、また定年退職に合わせてなどにも活用できると考えられます。ただ、この指標は残念ながら実際に公表されているデータが限られていることもあり、簡単にはできませんでした。しかしながら、こうした新たな視点での指標づくりも必要ではないかと思うところです。なかなか難しいことだとは承知していますので、答弁は求めませんが、知事初め各部局長に私の思いを理解いただき、前向きに考えていただくよう要請させていただきます。
(3)高知県労働者の満足度調査
○依光
次に、誇りと志を持って働ける職場環境という点で、高知県の労働者が高知県で働くことに対してどれだけの満足を感じているのかについてお聞きをいたします。団塊の世代が大量退職の時期を迎える一方で、若い労働者はその大量退職を補うだけの人口ボリュームがなく、若い労働者の地域間での奪い合いという話を最近聞くようになりました。こういった状況を見たときに、私は高知県で働く労働者の満足度、これは賃金が高いとか安いとかだけではない話だと思いますが、現状をきちんと把握し、適切な対応をとっていくということが必要ではないかと思います。
例えば新卒学生が高知に就職か県外に就職かという選択を迫られる場面で、親御さんに相談した際、高知にはたくさんいい企業があって自分も高知の企業にやりがいを感じている。だから、高知の企業に就職しなさい。そうアドバイスしたなら、自然と高知で働く人材がふえると思いますが、逆のアドバイスであったなら、他県に意欲ある人材が奪われることになります。高知県で働く労働者が、高知県内で働くことに対してどれだけ満足を感じているのか。また、高知の労働者が重視する項目についてどんなものがあるのか。例えば仕事内容なのか、給与なのか、勤務地域なのか、福利厚生なのか。
どの程度調査できるか、困難なこともあるかもしれませんが、何らかの形で把握しておくことも必要だと考えますが、これからの担い手確保に向けての基礎資料にするお考えはないか、商工労働部長にお聞きをいたします。
(商工労働部長原田悟君登壇)
◎商工労働部長(原田悟君)
労働者の満足度を調査して、これからの担い手確保に向けた基礎資料にしてはどうかとのお尋ねがありました。
高知県内で働く方々がどういった点に満足しているのか、また高知で働く際に何を重視したのかといったことについて調査し、把握することは、今後U・Iターン就職の取り組みや新卒者の就職支援を進める上で大切なことであると考えています。昨年から県と労働局が連携しまして、大学生のUターン就職の実態調査を実施していますが、こういった調査にあわせて、高知で働くことを選択した理由や満足している点などについて、より詳細な調査を行うことは可能だと思いますので、労働局や経営者団体などの御協力をいただきながら、その実施について検討してみたいと考えています。
(4)キャリア教育への外部人材活用
○依光
次に、高知の担い手育成の場である学校教育についてお聞きをいたします。ことしは総務委員会ということで、学校現場を幾つか見せていただきました。そこで、感銘を受けましたことは、子供たちを将来どういった社会人に育てるかということで、校長先生を先頭に各学校が特色を持ってカリキュラムをつくっていることでした。また、その中で地域との連携や地域の人材を担う社会人を育てるという視点を大事にしている学校が多いことに頼もしさを感じました。
先ほどから、地域地域で若者が誇りと志を持って働ける高知県ということで質問させていただいておりますが、教育の現場ではいち早く取り組まれています。例えば嶺北高校では、生徒と地域が連携して嶺北地域を活性化させることを目的として、地域をフィールドとした学習活動を行っており、例えば米粉を使った商品開発に地元企業と取り組んでいるとのことでした。また、高知農業高校では、統合された大栃高校から香美市物部町神池の茶畑を受け継ぎ、茶葉からお茶をつくる実習をしたり、また鹿肉を使ったソーセージの試作品づくりを行ってきました。これは生徒さんが地域の人から喜ばれるということを通じて自尊感情を高め、職業意識を育むと同時に、地元の産品から県外へ商品を販売し、外貨を稼ぐという産業振興計画における取り組みにもつながる有望な人材育成策であると思いました。
これらの活動は、高知県教育委員会の実習会計や21ハイスクールプランの予算を使って運営しているわけですが、この予算に関しては使途の柔軟運用も含め、さらに推し進めるべきと思います。高知農業高校の事例では、年度がスタートした後に地域からお話があり、年初のカリキュラムを変更して授業をつくり直したというようなお話をお聞きしました。地域と高校をつなぎ、社会を学べるキャリア教育という意味では、校長先生の意欲だけに頼るのではなく、コーディネートの専門部署、カリキュラムづくりのサポート集団が教育委員会の中にあってもよいのではと感じます。また、地域をフィールドとした総合学習改善のための校長先生、教員同士の情報交換の場や、高知県民への成果発表の機会などもあればと思いました。
地域の産業を担う人材育成を目指した、地域をフィールドとしたキャリア教育の意義と、この取り組みを推し進めるべく、学校と地域をつなぐ授業開発や授業効果の検証を行う新たな組織を、外部人材も活用する形で設置するお考えはないか、教育長にお聞きをいたします。
(教育長中澤卓史君登壇)
◎教育長(中澤卓史君)
最初に、学校と地域をつなぐ授業開発や授業効果の検証を行う新たな組織を外部人材も活用する形で設置する考えはないかとのお尋ねがございました。
現代の子供たちは、地域社会の中で職業体験を初めとしたいろいろな経験を積む機会が少ないため、学校での学習と実社会でのつながりを意識することができず、自分自身の将来を決定することができなかったり、仕事についてもすぐに仕事をやめたりするなどの課題があります。この課題を解決するために、本年度から就学前から高校までを通じて社会的・職業的自立できる子供を育てるための指針としての高知のキャリア教育の冊子を作成しました。このキャリア教育の推進に当たっては、さまざまな専門的な知識や実社会での経験も必要であることから、経験豊富な外部人材の活用が不可欠であり、議員御指摘のように地域との連携や外部の方々の御協力が大変重要だと考えております。
現在、各学校では開かれた学校づくり推進委員会などの組織を設置し、保護者や地域の有識者などから学校教育に対する意見やアイデアなどをいただき、教育活動がさらに充実するように努力しているところでございますが、十分にその組織が活用されていない面も見受けられます。県教育委員会としましては、外部人材をより有効に活用でき、地域を担う人材の育成につなげていくために、まずは現在の組織を活性化し、地域の方々から出された意見や評価が適切に吸い上げられ、学校でできない部分を補い、学校改善に結びつけられるようなシステムづくりを進めていきたいと考えています。
(5)県教委と先端パワーとの連携
○依光
次に、県教委が高知県企業と結んだ協定についてお聞きをいたします。高知県だけの現象ではありませんが、せっかく会社に就職しても3年以内にやめてしまうという早期離職が問題となっておりまして、このことへの解決はとても難しいのですが、高校生のうちから職業意識を高めるということが近道ではないかと思われます。そんな中、高知県内の学校が先ほどのハイスクールプランの中で、県内企業の社長さんや人事担当者が講師となり、企業理念や企業経営を通じての社会貢献、働く意味や喜びについての講義を行い、自分の人生を考えてもらう学習の場をつくっていることを視察の中で知りました。その講義は、就職面接対策というようなものではなく、人間学、人生学というような人格形成の基礎をつくるものに感じられました。また、生徒たちには余り知られていない高知県企業について知ってもらう機会としても意味があって、県内への有望な人材定着につながるのではと思います。
今回の高知県教育委員会と高知県の優良企業集団である高知先端パワー企業グループとの、キャリア教育推進のための事業協力に関する協定の意義と、キャリア教育における事業協力の成果につきまして教育長にお聞きをいたします。
◎教育長
次に、高知先端パワー企業グループと締結した、キャリア教育推進のための事業協力に関する協定の意義及び成果についてお尋ねがございました。高知先端パワー企業グループとのキャリア教育推進のための事業協力に関する協定につきましては、児童生徒のキャリア教育の充実を図り、新たな次代を担うことのできる人材を育成することを目的とし、先月8月24日に締結したところでございます。したがって、まだ成果というところまでお話しすることはできません。
ただ、この協定によりまして、学校側も企業に対してさまざまな取り組みの支援をお願いしやすく、企業側も学校に対して知恵を出しやすくなり、双方をつなぐパイプが太くなることで、より多くの可能性を生かせるようになるものと考えます。今回協定を締結した高知先端パワー企業グループには、製造業を初め多様な職種があり、豊富な人材の協力が得られるものと考えております。今後も学校での学習と実社会を円滑につなぐために、地域や企業などの学校のほかの方々に協力をいただき、高知の子供たちを皆で育てていくキャリア教育を充実させていきたいと考えております。
2移住促進について
(1)3大学の産業振興計画への役割
○依光
次に、大学を活用した産業育成とU・Iターンの可能性についてお聞きをいたします。私は平成27年度からスタートする知の拠点、永国寺キャンパスが、産業振興計画に関する商品開発と地域で産業を担う人材育成において、最も重要な拠点であると考えておりまして、これまでの議会でも質問させていただいております。また、御答弁でも県内の高等教育機関の連携によって新たな商品開発に結びつけるお考えを表明されております。高知県に残る地域資源と伝統文化の潜在力は、多種多様な評価を受け入れられる奥行きの広さを持っており、異なる専門分野の研究者があらゆる角度からの発見を県民に還元してくれています。また、この研究者の多様性こそが高知の強みの一つでもあります。
改めまして、本日は高知県で長い年月、人材育成で大きな役割を果たしている高等教育機関であり、各大学の異なる専門領域によって高知への地域貢献を続けている高知大学、高知県立大学、高知工科大学の3つの大学に対して、今後さらにどのような役割を期待するか、知事にお聞きをいたします。
◎知事
次に、高知大学、高知県立大学、高知工科大学に対して、今後さらにどのような役割を期待するのかとのお尋ねがありました。大学には、生涯学び続け、社会や経済の発展を牽引する人材の育成に加え、高度な研究、地域の再生や課題解決など地域社会への貢献といった役割があります。現在、整備を進めています永国寺キャンパスでは、県民に開かれた社会貢献する知の拠点として、高知県立大学と高知工科大学が連携をして、教育研究の充実はもとより、社会人教育や生涯学習、さらに産学官連携など積極的に推進をしていくこととしておるところであります。また、高知大学は今後地域再生の核となる大学づくり、これを大学のミッションの中心に据えて、地域貢献をさらに推進していく方向であると伺っております。高知大学とは、これまで以上に県が抱える課題や基本政策を共有し、課題解決に向けともに取り組んでいくため、今年度から定期的に意見交換会を開催することとしておりますので、県の施策との連携や協力をより一層深めていくことができるものと考えております。
さらには、県内3大学に参加をいただきまして、昨年度立ち上げました産学官連携会議では、産業人材育成のための体系的なプログラムを作成いたしますとともに、本年度からは新エネルギー、防災、食品の3つの部会を設けて共同研究の推進にも取り組んでおります。さらに、3大学連携でもって、さらに官民協働でもって、現在実施しております、先ほども申しました土佐MBA、こういう取り組みも進んでいるところです。こういう取り組みをさらに拡充していくことで、社会人教育の充実、徹底した充実につなげていくことができないか、私はそういう思いを持っておるところです。これらの取り組みを通じまして、県内の大学がそれぞれに異なる専門領域を生かしつつ、第2期産業振興計画の推進はもとより、日本一の健康長寿県構想の推進などに今まで以上に貢献していただくことを期待しているところでございます。
私からは以上でございます。
(2)リタイアメントコミュニティによる移住
○依光
次に、リタイアメントコミュニティーの核ともなる永国寺キャンパス整備についてお聞きをいたします。高知県の経営者を中心に組織されております土佐経済同友会では、大学を核としたリタイアメントコミュニティーという議論をスタートさせました。これは高齢者の移住者を受け入れた大学を核とした町が世界各地にあって、生涯学び続けながら健康を維持し、地域にとっては人口増による雇用創出により地域の振興を実現したという事例を高知でも実現できないかというものです。リタイア世代にとっての老後の楽しみはというと、これまではゴルフなどの娯楽であると考えられていましたが、アルツハイマー病の増大による反省から、介護が必要とならないための工夫の議論が行われ、生涯知的好奇心を満たすための学問によって生きがいの増大を生み出そうとしたことが契機のようです。
詳細な説明は省きますが、移住のための年収要件はそれほど高くなく、介護が必要になっても一生必要な支援を受けられる仕組みになっています。その理由は、年間450時間以上の授業に出ることが入居条件になっているのですが、授業によって頭を使い、サークル活動、自治会組織などへの参加で認知症にならない、介護度が上がらないということで、手ごろな値段となっています。高齢者を高知に呼び込むのは、医療費など県の負担が多いのではという声もありますが、県が試算した夫婦50組100名の移住で65億円の経済波及効果というデータに加え、海外の事例でも介護度が高い状態を予防する仕組みをつくることでプラスの効果のほうが大きいことが証明されております。
高知県において、平成27年度に図書館、山内資料館と学びの場が整備され、永国寺キャンパスにおいては、会議室や食堂などにプレゼンテーション機能を持たせて整備し、研究会やシンポジウム、ワークショップなど、県民や地域の方々に積極的に活用してもらう方針を表明されております。この整備は、リタイアメントコミュニティーをつくり出し、リタイア世代を高知に呼び込む準備にもなると思います。高齢者の移住ということに関しては、ついの住みかという大きな決断でもあり、よほどの魅力がなければ人は動かないと思われます。しかし、高知県でしかできない幕末の英雄に関する研究であるとか、高知の食を生かした健康食品の研究であるとか、また地域の希少植物や昆虫などの調査、ジオパークなど地質の研究など、素材はたくさんあるのですから、高知に行けば研究者としての老後が送れるというようなことを打ち出せば、移住者を呼び込むことは十分可能ではないかと思います。
また、サラリーマンの方々が退職された後に、庭の草むしりくらいしかやることがなく、家に閉じこもって介護が必要な状態になるというような事例を聞きましたが、高知に来て◯◯大学の研究室所属研究員というような肩書で名刺を持って社会参加を継続するというのは、新しい老後の形ではないかと思います。例えば、都会でばりばりお仕事をされた方が、知の拠点、永国寺キャンパスで産業振興計画のビジネスプランづくりに参画していただけることができたなら、地産外商の力ともなっていただけるのではと思います。こういった成功イメージのためには、永国寺キャンパス整備において、高知大学、県立大学、工科大学の3つの大学の生涯学習に関するカリキュラムの連携や知のコラボレーションを狙った空間づくりの工夫が重要なポイントとなります。
わざわざ高知に移住したくなる日本一のリタイアメントコミュニティーの核として、また学びの相乗効果を生み出す大学間連携が進んだ組織づくりと、高齢者を含め多くの県民が集いやすい空間づくりの工夫、高齢者向けのカリキュラムの充実などが期待される知の拠点、永国寺キャンパスの現在の整備状況につきまして副知事にお聞きをいたします。
(副知事岩城孝章君登壇)
◎副知事(岩城孝章君)
高齢者の移住促進に関連した永国寺キャンパスの現在の整備状況についてお尋ねがございました。
第2期の産業振興計画におきましては、移住促進による経済活性化を産業振興計画の次の改定に当たっての新たなテーマとして、庁内のプロジェクトチームで検討を深めることとしております。その中で、お話にございましたように、試算では同年齢の60歳の夫婦50組が大都市圏から高知市に移住をし、平均寿命である男性80歳、女性86歳まで暮らしていただいたとしての本県への経済波及効果は65億円となっております。こうして本県に移住された方々が、お話にございましたように、高知にある素材を選ばれて、独自の研究に励まれることは大変喜ばしいことですし、あわせまして、これまでの経験や知識を生かして、研究開発や事業者のビジネスプランづくりなどにその能力を発揮していただくことで、本県の産業振興に貢献していただくことも大いに期待するところでございます。
お話にございました、いわゆるリタイアメントコミュニティーの構想につきましては、永国寺キャンパスを拠点に、県内各大学を初めとします産学官が連携する組織づくりや、生涯学び続けながら健康を維持できるよう、高齢者を含めた社会人教育の充実などを進める本県の取り組みにマッチするものであり、リタイア層の方々に本県の魅力をより感じていただける有効な考え方ではないかと思っております。こうした中で、永国寺キャンパスの整備につきましては、シンポジウムや研究会に活用できるプレゼンテーション機能を備えた講義室や会議室などを広く地域に開放するとともに、高齢者を初め幅広く県民の方々に御利用いただけるよう、ユニバーサルデザインにも配慮しながら、現在基本設計を進めているところでございます。
(3)高齢者向け産業の育成
○依光
次に、高齢者の日常生活を補う高齢者向け産業の育成についてお聞きをいたします。高知県にはルミエールサロンという目の不自由な方々向けの機器展示室が高知県立盲学校の中にありますが、ここでの取り組みは、高知県で年をとっていくことへの安心感を生み出し、また新たな産業の芽にもなる取り組みであると期待しております。物が見えづらくなるということは、年齢が高くなることによって誰でも経験することですが、少しの訓練、少しのグッズ紹介で、劇的に生活が変わるという事例を教えていただきました。例えば白黒反転まないた、これは表が白、裏が黒と反転させることのできるまないたなのですが、紹介された方が黒いまないたを使って、これでイカそうめんを家族につくってあげられると喜んだという事例を教えていただきました。
また、拡大読書器という商品は、使う人の目の状態に合わせて文字を拡大し、白黒反転や背景は青、文字は黄色など、5種類の色の切りかえで見え方を改善する機能がついているもの。また、視覚障害者向けパソコン用ソフト開発では、株式会社高知システム開発がインターネットの読み上げソフトなどで全国的に高い評価を得ています。こういった便利な道具について教えてくれる視覚障害者生活訓練指導員さんですが、現在2名で高知市を除く県内をカバーしており、さらに車は1台、電話は2人が出払っていれば留守番電話と、県内の増大するニーズには全く対応できていないようです。厳しい財政状況ですから、訓練指導員の増員や車の配置は厳しいのかもしれませんが、高齢者等のニーズを的確に把握し、生活の質の向上につながる商品開発を進めることは、いつまでも元気で生活できる高知県を目指す取り組みとしても重要だと思います。
高知県は、産業振興計画の中で、今後成長が期待される分野として健康福祉をテーマの一つとして取り組みを進めていますが、その取り組みの状況を商工労働部長にお聞きします。
◎商工労働部長
次に、高齢化が進む中、産業振興計画における健康福祉の分野などの取り組みについてお尋ねがありました。高齢化の進行に伴い、高齢者の健康に配慮した食品や身体機能の低下を補う機器、あるいは介護関連サービスなど、福祉・介護といった分野の需要の拡大が見込まれています。そのため、こうした成長が見込まれる分野の需要を本県産業の振興に生かしていくという視点から、健康福祉や食品などの分野をテーマに研究会を設けて、事業化のアイデア段階から商品の試作、販路開拓まで総合的な支援を行ってまいりました。
現在、健康福祉と食品の両研究会に合わせて156の会員の皆様に御参加いただいており、これまでに27の事業化プランが認定され、商品開発や販路開拓などの取り組みが進められています。主な事業化の例といたしましては、食材本来の形や風味を残したやわらかく飲み込みやすい介護食や病院などで感染を予防する使い捨てタオル、また高齢者介護施設などの施設運営サービスの提供といった商品が生み出されており、本格的な量産に向けて準備を進めている企業も出てきております。今後とも研究会活動を通じて、高齢者等のニーズに応えられる商品開発や事業化に取り組んでまいります。
一方、新たな技術開発や研究開発の推進といった面では、県内の大学や企業において高齢者の歩行を助ける支援器具や高品質な紙おむつなどの研究が進められており、県としても工業技術センター、紙産業技術センターによる技術的な支援や産業振興センターとの連携による研究開発への助成などを行ってまいりました。また、新たに医療関連機器の開発に取り組むといった動きなども出てきていますので、今後とも産学官の一層の連携を図りながら、事業化に向けた支援を行ってまいります。こうした研究会を中心とした商品開発から販路開拓までの一貫した取り組みや新たな技術開発などを着実に進めていくことで、高齢化に伴う新たな分野の需要への対応を図り、本県産業の振興につなげていきたいと考えています。
(4)移住現地コンシェルジェ
○依光
次に、U・Iターンについてお聞きをいたします。先ほどはリタイア世代の移住ということで質問をさせていただきましたが、私が住む物部川流域には、少しずつ若い移住者もふえてきております。移住者支援においては、高知県では、お試し住宅や移住コンシェルジュなどいろいろな取り組みが行われていますが、移住者にとって空き家を探すということに関しては、非常に御苦労があることを聞きました。中山間地域を中心に空き家はどんどんふえていますが、移住者とのマッチングはうまく進んでいません。その理由としては、将来自分が帰るかもしれないので空き家のままで置いておきたいという思いや、地域のルール、しきたりを知らない人を受け入れて、御近所の方に迷惑をかけることは避けたい、古くなって貸せるようなものではないというようなものです。
高知に移住したい人がいて、空き家もあるのに移住が進まないという状況を何とか改善できないかと思います。県はポータルサイトをつくって、宅建業者の仲介によって移住者に紹介する取り組みを行っていますが、先ほどの理由で空き家が余り出てこず、この事業の効果が上がるには、もう少し時間がかかるのかなと思います。一方で、私が移住者の方にヒアリングをして聞いたところによると、雨漏りがするなど、壊れていてもいいので安く借りたい。また、自由に家を直させてもらいたい。県のポータルサイトに登録された家は家賃が高くて手が出ない。田舎暮らしをしたいのに、都会のマンションのような修理がされていて、住みたい家のイメージとは違うというような声がありました。
では、どうしたらいいのかと聞くと、空き家の持ち主の電話番号と家の場所の一覧があれば、行政の支援は必要ない。地域のルール、しきたりを教えてくれる地域のコンシェルジュのような人がいたらさらにありがたいということでした。移住しようという人たちは、基本的には行動力がある人なので、直接持ち主にアプローチして安く個人的に借りたい。また、思う以上に家をきれいに直して家賃が高くなるよりは、壊れたまま安く貸してくれたら自分たちで使いやすいように直したいとのことです。改造した家を持ち主に戻すときにトラブルにならないのかと聞くと、移住者好みに改築した家は、同じような嗜好の移住者がすぐ借りるため、家主としては資産価値が上がると捉えて、もとの状態に戻せと言われた事例は聞いたことがないという話でした。
地域のコンシェルジュの役割はと聞くと、地域には地域の暗黙のルールがあって、例えば地域の分担金を集めにきた人が、「移住してきたばかりで、お仕事もされていないので今回は払わなくていいですよ」と言ってくれたので払わなかったら、地域の中で、今度来た移住者は分担金を払っていないという話をされ、地域からの信用を失った。集めに来た人の好意と、地域の人の受けとめは違ったという事例を話されて、暗黙の了解や長年地域に住んでいる人しかわからないしきたりを教えてくれる、移住者の先輩がいる地域には移住者は入りやすいということをお話しされました。香美市の事例では、香北町谷相が移住者の村として有名ですが、そこではIターンの先輩がいて、新しい移住者への情報提供がきちんと行われていて、トラブルなしに移住者をふやし続けています。
そこで、高知県は産業振興計画の第2期計画において、移住促進による経済活性化を新たな取り組みとしてスタートさせますが、高知県内の先進事例において地域のルールを後から来る移住者に教えたり、空き家の情報提供や家主さんとの交渉のお手伝いをして、これまで成果を上げてこられた方々を例えば移住現地コンシェルジュとして認定して、移住の取り組みに対するアドバイザーとして移住促進をさらに加速させるお考えはないか、産業振興推進部長にお聞きをいたします。
(産業振興推進部長中澤一眞君登壇)
◎産業振興推進部長(中澤一眞君)
これまで移住の促進に成果を上げてこられた方々を、例えば移住現地コンシェルジュとして認定し、移住促進をさらに加速する考えはないかとのお尋ねがございました。
お話がございましたように、移住される方にとりましては、地域の実情に詳しい方々から地域のルールや空き家情報の提供などの協力をいただくことは、大きな支えになると思います。実際、お話のありました香美市や嶺北地域などには、多くの移住希望者から相談をお受けして、空き家の案内をされたり、移住のお試し滞在をするための場所を提供されたりして、移住の実現に大きく貢献をいただいている方々がいらっしゃいます。この方々は県の窓口に来られた相談者に対しましても、空き家情報を提供していただくなど、まさに現地に密着した移住コンシェルジュ的な立場で御協力をいただいているところです。
こうした現状から考えまして、県としましても、それぞれの地域において移住相談の窓口となられ、移住の実現に向けてさまざまなサポート活動をされている方々の存在は大変心強く感じておりますし、こうした方々との連携をさらに強化することが移住を促進していく上で大変効果的なことだと考えています。県では、第2期の産業振興計画で今後挑戦する新たなテーマとして、移住促進による経済活性化を位置づけ、今後庁内に設置いたしましたプロジェクトチームで具体的な施策の検討を進めていくこととしておりますので、その中で御提案のありました民間の協力者の位置づけにつきましても、市町村との連携の強化などとあわせまして具体的な方策を検討してまいります。
(5)空き家の補助制度
○依光
次に、中山間の空き家の活用と支援策についてお聞きをいたします。高知県内の空き家は、中山間地域を中心に今後どんどんふえていくことが予想されますが、この空き家の多くがその土地の大工さんがつくった日本建築であり、その日本家屋は人が住まなければどんどん資産価値が落ちていきます。その理由は、空気の流れが滞ることが大きな原因で、締め切った家は湿気を生み、空気の流れのない空間では、カビが発生し、木材の腐食が進みます。また、人が住んでいなければ雨漏りに気づくこともできず、木材が常に湿った状態になれば、さらに腐食が進んでいきます。
中山間にある日本家屋は、その土地の歴史と文化を表現した景観を形づくり、田舎暮らしにあこがれて高知に移住する人々にとっては、大きな魅力となっています。また、南海地震による津波被害が想定される高知県において、避難場所としての位置づけも今後重要であると思います。香美市の平山地区、猪野々地区でいざというときの避難者の受け入れ調査をしたのですが、平山地区で、支援があれば可能も含めて51.8%、猪野々地区で55%の方々が避難の方を受け入れるとお答えをいただきました。ちなみにアンケート回収率はそれぞれ世帯数の59%と56%です。
県は、市町村ごとの避難者数と受け入れ数の過不足の調査をしていますが、仮設住宅を建てるよりは既存の住宅を活用するほうが安上がりで、中山間の家屋の維持にも有効です。県は、市町村と民間事業者との間で、津波避難施設指定の協定締結などを前提に、民間事業者による津波避難施設等の整備経費を支援する補助制度を創設することにしていますが、その仕組みを中山間地域にも応用して、集落単位と受け入れ人数の協定を結んだ上で、自治会長さんや地区長さんが空き家の家主さんと交渉し、最低限の改修と管理する仕組みがつくれれば、集落の空き家の把握と耐用年数の延長、またいざというときの避難者の受け入れ場所もふやせると思います。
そこで、中山間地域に存在している空き家を改修して、交流施設や田舎暮らし体験施設として活用するための事業を実施することによって、平常時から都市部との人の交流が盛んになれば、いざというときの避難者を受け入れる体制をつくることができ、さらに受け入れ施設として活用できると考えますが、土木部長の御所見をお聞きいたします。
(土木部長奥谷正君登壇)
◎土木部長(奥谷正君)
中山間地域に存在する空き家を改修して、交流施設や田舎暮らし体験施設として活用するための事業を実施することにより、平常時から都市部との人の交流が盛んになれば、いざというとき避難者を受け入れる体制をつくることもでき、さらに受け入れ施設として活用できるのではないかとのお尋ねがありました。
南海地震による津波被害が想定される本県においては、浸水の心配のない中山間地域の空き家などを活用し、被災者を受け入れることができる避難場所を確保していくことが重要です。しかしながら、空き家を改修しても平常時から使用しなければ、住宅の劣化が進み、災害が発生するまでの間の維持管理が困難になります。このため、例えば滞在者向けの宿泊施設や定住希望者向けの住宅などとしてふだんから利用すれば、都市部との人の交流も生まれ、中山間地域の活性化にもつながるものと考えております。県としても、これらの中山間地域の空き家の有効活用を図るため、市町村に国の空き家再生等推進事業などの情報提供を行い、積極的な活用を促していきます。
3南海地震対策について
(1)初動対応の映像での情報共有
○依光
次に、南海地震における初動対応についてお聞きをいたします。国の津波浸水予測によれば、津波が県庁付近に早ければ4時間程度で到達することが想定されておりまして、高知市が広域にわたって被害を受けることが明らかになりました。県庁に設けられる災害対策本部にとっては、かなり厳しい初動対応が予想されます。そこで、地震発生初期には、衛星携帯電話などでマンパワーを使って被害状況を県庁に連絡するというよりは、あらゆる現場の映像を使い、瞬時に情報伝達する仕組みづくりが有効であると思います。特にヘリコプターからもたらされる映像は、固定カメラとは違って、欲しい情報を上空に行って収集できること、また通信網が県内で厳しい状況になっても、被害のなかった受信施設に直接電波を送ることで情報を伝達することができます。しかし、例えば県警ヘリコプターの情報は、現状では県庁と警察本部でしか見ることができません。
私は、県庁に設置される災害対策本部に全てを集約して情報収集から命令までやるということには反対をしておりまして、将来設置される総合防災拠点や災害対策支部、あるいは津波の被害のない市町村に役割を分担しておくべきではないかと思います。特に情報収集や情報処理、分析は、県庁の災害対策本部でやる必要はなく、ある程度整理された情報だけを集めて意思決定だけを行うということでよいのではと思います。また、香美市を例にとると、南海地震が発生後、最初は土砂崩れ、火事、救急搬送など香美市内の救助を優先しますが、落ちつけば近隣市町村への救助も広域協定に基づいて行うことになります。その際、ヘリコプターからの映像が香美市役所に入っていれば、例えば南国市や香南市の上空からの被災状況から、避難してくる人々の大まかな人数を想定して受け入れの準備をするなど、事前の対応もできると思われます。
そこで、地震発生後ヘリコプターが集めた映像を県庁の災害対策本部だけではなく、総合防災拠点や災害対策の前線基地である市町村の災害対策本部でも見られるようにするお考えはないか。また、ヘリコプターからの映像を災害時でもトラブルなくきちんと受信できる体制も必要ですが、現状と今後の取り組みについて危機管理部長にお聞きをいたします。
(危機管理部長高松清之君登壇)
◎危機管理部長(高松清之君)
南海地震対策に関しまして、地震発生後、ヘリコプターが集めた映像を県の災害対策本部だけでなく、総合防災拠点や市町村の災害対策本部などでも見られる体制とすることについてのお尋ねがございました。
ヘリコプターが被災地上空から撮影した映像は、被害状況の全体像や人命救助、捜索活動を行うエリアの把握など、さまざまな応急対策に有効であり、議員からお話がありましたように、県庁だけでなく災害対策支部である土木事務所や市町村、そして県内各地の消防本部などと共有することが効果的な対策につながると考えています。ヘリテレの機能を持って活動している警察本部や四国地方整備局のヘリコプターが撮影した映像は、現在でも県警本部や地方整備局を経由して県庁で受信することができます。さらに、総合防災情報システムを介して県から市町村等に配信することは可能ですが、これらのヘリが収集する情報につきましては、基本的には市町村への配信が想定されていないことから、南海地震などの災害時に市町村等へ配信することにつきまして、事前に協議を行っておく必要があります。また、警察本部や四国地方整備局と県庁、そして県庁と市町村の間での映像の伝送は、現在のところ有線回線を使用していますため、地震発生時には断線し、受信、配信ができなくなる可能性もございます。
一方、来年度に消防庁から貸与を受ける予定のヘリコプターは、衛星回線を利用して県庁に送信をしてまいりますので、県庁での受信の信頼性は高まります。今後、当面はこの新しい防災ヘリが撮影した映像を総合防災情報システムを介し、有線回線によって出先機関や市町村、消防本部などに配信することとなりますが、順次、専用の受信機やアンテナなどの配備を進め、衛星回線でも配信できるようにすることで、災害時における市町村等への情報伝達の確実性を高めていきたいというふうに考えております。
(2)医薬品卸会社の浸水対策について
○依光
次に、薬の備蓄についてお聞きをいたします。県は薬の備蓄について、県内28カ所の医療機関が通常の取引量以上の在庫を持つ流通備蓄という形をとっていますが、県内の医療機関とは別に民間の医薬品卸会社にも在庫があり、何かあれば活用できる協定を結んでおります。しかし、県内に4カ所ある医薬品卸会社の物流拠点のうち、3カ所は浸水が予想されております。貴重な薬を多数抱えた物流拠点を確実に浸水しない土地に移転させる取り組み、あるいは物流拠点を高台に整備することへの補助によって状況を改善する考えはないか、健康政策部長にお聞きをいたします。
(健康政策部長入福聖一君登壇)
◎健康政策部長(入福聖一君)
南海地震対策に関連しまして、医薬品卸会社の高台等への移転についてお尋ねがありました。
災害時における医薬品供給に関する取り組みといたしまして、昨年度発災後3日間の急性期対応の医薬品を12の病院に、歯科用医薬品を16の歯科診療所に、通常の取扱量に上乗せして在庫する流通備蓄という形で保管をしております。今年度は、4日目以降に必要となる輸液やけがによる破傷風予防のための医薬品などを追加備蓄することとしております。また、本年3月に高知県医薬品卸業協会と災害時における医薬品等の供給に関する協定を締結し、県や市町村が備蓄している医薬品等では対応が困難となった場合に、県の要請に応じて必要な医薬品等を供給していただくこととあわせまして、発災後2週間程度の間に必要となる医薬品のリストを事前に作成して、発災後すぐにそのリストに基づいて優先供給をしていただく仕組みを構築することとしています。
議員御指摘のとおり、県内の幾つかの医薬品卸会社は浸水が想定される区域にありますけれども、医薬品を浸水被害を受けにくい2階に移すなど、日ごろからの備えを行いますとともに、被害を受けた場合には、県外の系列会社等から医薬品を搬入する仕組みをつくるなど、それぞれの会社において災害発生時の医薬品供給体制の確保に向けて取り組んでおられます。このように、現時点では県内の医薬品卸会社から物流拠点の移転についてお話は聞いてはおりませんけれども、災害時においても医薬品の供給機能が維持できますよう、業者間や行政との通信の確保や医薬品の搬送手段の確保などにおきまして、必要な協力をしてまいりたいと考えております。
4生涯スポーツの振興について
○依光
最後に、高齢者スポーツの振興についてお聞きをいたします。ねんりんピックよさこい高知が来年10月に春野総合運動公園を中心に開催されますが、そこで開催されるスポーツの中には、ゲートボール、ペタンク、グラウンドゴルフ、太極拳、ウオークラリー、ボーリング、バウンドテニス、パークゴルフ、フィッシング、囲碁、将棋、俳句、健康マージャンなど、高齢者スポーツならではの競技がたくさんあります。こういったスポーツは、若いときからやっている方ばかりでなくて、高齢者になってから手軽に始められるところがよいところではないかと思います。しかし、定年退職された方が体力維持や仲間づくりのために何かスポーツをやってみたいと考えた際、気軽に募集チラシを見つけたり、競技の場所が身近にあったりという環境にはまだまだ不十分でないかと思います。
私の住む香美市では、ペタンクやグラウンドゴルフ、またねんりんピックの種目には入っておりませんが、マレットゴルフなどが盛んで、その理由を考えますと、ペタンクは香美市内各地のグラウンドで、グラウンドゴルフは鏡野公園や土佐山田スタジアムで、またマレットゴルフは地元有志によってコースがつくられるなど、身近に競技の場所と指導者を含めた仲間がたくさんいることではないかと考えられます。パークゴルフ場という競技の場所をつくった黒潮町や中土佐町では、パークゴルフ人口をふやすことだけにとどまらず、パークゴルフ場自体が観光スポットとなっています。
そこで、ねんりんピックを契機に、日本一の高齢者スポーツ県を目指して定年退職を迎えた人たちや高齢者に生涯スポーツを紹介し、スポーツ人口をふやす取り組みをこれまで以上に市町村と連携して推進していくお考えはないか、教育長にお聞きをいたしまして、第1問といたします。
◎教育長
最後に、本県のスポーツ人口をふやす取り組みをこれまで以上に市町村と連携して推進する考えはないかとのお尋ねがございました。県民が健やかで心豊かに、支え合いながら生き生きと暮らすことのできる日本一の健康長寿県構想の実現には、日常的に運動やスポーツ活動のできる環境づくりが大切であると考えております。日常的に運動やスポーツを行える場の一つとしまして、子供から高齢者までそれぞれのレベルに合わせて気軽に参加できる総合型地域スポーツクラブが、県内の24の市町村で32クラブが活動しております。それぞれのクラブで地域の実情に合ったスポーツ教室や世代間交流のイベントなどを行い、地域のコミュニティーとしての役割も果たしております。
また、これまで運動習慣のない方に運動やスポーツに親しんでもらうためには、スポーツ環境の充実や指導者の養成確保が重要であり、各市町村でスポーツ活動の中核を担っていただいておりますスポーツ推進委員などを対象に、スポーツ指導者講習会を開催するとともに、それぞれの地域の実態や要請に応じて、専門的な指導者を派遣する指導者派遣事業などを行っております。さらに、現在生涯スポーツを推進するために、スポーツを通じて健やかで心豊かに、支え合いながら生き生きと暮らせることのできる社会を理念としまして、具体策を盛り込んだスポーツ推進計画の策定に向けた作業に取り組んでおりまして、積極的に市町村と連携を図り、運動やスポーツに携わる人口が一人でも多くなるようスポーツの振興に努めてまいります。
◆9番(依光晃一郎君)
それぞれ前向きな御答弁ありがとうございました。
2問目をさせていただきます。知事にお聞きをいたします。先ほどは高知を選んで働いてもらうことへのメッセージということで、チャレンジを応援する県ということで、非常に力強いメッセージをいただいたと思います。ほかにリタイア世代であるとか、インターンの移住者であるとか、高知に来ませんかであるとか、戻ってきませんかというメッセージはいろいろなところで行っていただきたいと思います。働いている方だけじゃなくって、いろいろなところにですね。例えば医師確保とかにおいても、高知は頑張っているんだからというようなことを発信していただければ、ああ、じゃあ高知で頑張ろうというような人もふえるんではないかと思います。
そこで、知事は県人会を含め首都圏とかに高知県人者、関係者の集まる場にたくさん行かれると思うんですが、そこでぜひU・Iターンのメッセージを強く出すことも非常に有効ではないかと思うんですが、その辺、知事のお考えをお聞きいたします。
◎知事(尾崎正直君)
御指摘のとおり、ぜひそのU・Iターンのメッセージをそういう場で強く出していきたいと、そのように思います。ただ、議員の御指摘の中にもありましたが、なかなか移住までしてきてくれるということは、ハードルの高いことでありまして、そう簡単なことではないという思いがありまして、やはりこういう例えば役割を担っていただきたいので帰ってきてもらいたいとか、もしくはこういう研究ができますので帰ってきてもらいたいとか、もしくはこういうすばらしい住居、環境がありますので帰ってきてもらいたいとか、何かやっぱりアタッチメントがあって初めて帰ってきてくださるというところがあるんじゃないかという思いを非常に強くいたしております。
今、移住促進策のプロジェクトチームでも、その点を非常にポイントを置いて検討しておるところでございまして、まず帰ってきてください、頑張っているんで帰ってきてくださいというメッセージを打っていきますとともに、あわせましてそういう研究が進みましたら、より強力なインパクトのあるメッセージとしてお伝えできるようになるんじゃないかと思っていまして、その伝えるメッセージの中身の充実についてもあわせて検討していきたいと、そのように考えております。
◆9番(依光晃一郎君)
ありがとうございます。
そのようにして、ぜひとも移住者をふやしていただくような取り組みを進めていただきたいと思います。また、リタイア世代の取り組みということでは、生涯学習であったり、生涯スポーツであったりと、高知の魅力を高めることができると思いますんで、ぜひ進めていっていただきたいと思いますし、リタイアメントコミュニティーというところでは、副知事から非常に強いメッセージをいただきましたので、そういう点も調査研究をどんどん進めていただきたいということを要請させていただきまして、私の一切の質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(武石利彦君)
以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。明27日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。
午後4時42分散会
○議長(武石利彦君)
休憩前に引き続き会議を開きます。議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。9番依光晃一郎君。
(9番依光晃一郎君登壇)
◆9番(依光晃一郎君)
お許しをいただきましたので、早速質問させていただきます。
第2期産業振興計画は知事のリーダーシップのもと、10年後の成功イメージを「地産外商が進み、地域地域で若者が誇りと志を持って働ける高知県」という言葉を打ち出しました。高知県民の多くが共感したすばらしいキャッチフレーズではないかと思います。私自身も共感した一人なのですが、誇りと志を持って働ける高知県ということにつきまして、日ごろから感じていることを少し前置きとしてお話しさせていただき、その後質問させていただきます。
高知県に生まれた子供が義務教育を受け、高校や大学を卒業して社会に出ていきます。親御さんの思いは、子供たちに豊かで幸せな人生を送ってもらいたい。そして、幸せな人生を送るためによい仕事を選んでもらいたい。また、子供たちも社会に出るに当たって、社会の役に立ちたい、親を安心させたい、そういう希望を持って将来を描いていると思います。今回の誇りと志を持って働ける高知県という言葉に、県民の多くが共感したのには、私は2つの意味があると思っていまして、1つは、より高知県を発展させたいという希望であることは間違いありませんが、もう一つは、現状の高知には若者が誇りを持って働けるところがない。このままではいけない。また、もしかしたら、今の仕事の先行きが見えず、夢を持って働けない、何とかせねば、そういうことではないかと思います。
昨年6月に質問させていただいた際に、県外の大学に進学した学生で、高知に戻ってきて就職する学生は2割に満たないという御答弁をいただきましたが、この数字は理想と現実の差の大きさをよくあらわしていると思います。現在の不安を未来への希望に変えるには、現状をきちんと認識した上で、今は苦しいけれど、希望に向かって進んでいくという県民運動にならなければと思います。東日本大震災では、大きな津波により何もかもなくなってしまった土地がたくさんあります。そんな中、受け継いできた文化を守るべく頑張っている人たちがたくさんいます。そういった人たちは、よその土地でより稼げる仕事という選択肢がもしかしたらあるのかもしれません。しかし、困難を承知で誇りと志を持ち、地域地域で仕事をつくり出そうとしています。被災された方々がその土地の復興を目指して頑張っている姿を見ると、働くということには都会と比べて給料がどうかということとは違った次元での働き方があることを教えてくれます。
1人材育成について
(1)県の人材育成への意欲
そこで、第2期産業振興計画の10年後の成功イメージである「地産外商が進み、地域地域で若者が誇りと志を持って働ける高知県」実現のために、若い人材に高知を選んで働いてもらうための働きかけや仕組みづくりについて、県としてどのような対策を行っているのか、また若者に対してどのようなメッセージを送りたいと考えているのか、知事にお聞きをいたします。
(知事尾崎正直君登壇)
◎知事(尾崎正直君)
依光議員の御質問にお答えをいたします。
まず、第2期産業振興計画で掲げる10年後の成功イメージを実現するため、若い人材の確保策や若者に対してのメッセージについてお尋ねがございました。若者たちに一人でも多く高知を選んで働いていただくためには、当たり前のことではありますけれども、まず何といっても大事なことは、志を持って打ち込める魅力ある仕事をこの高知にたくさんつくるということが非常に重要だと思います。産業振興計画を通じてまさにこのことを目指していこうとしておるわけでありますが、そのため、第2期計画では、10年後の成功イメージを全体として掲げさせていただくことにとどまらず、各産業成長戦略におきましても、例えば農業分野では、地域で暮らし稼げる農業、林業分野では、山で若者が働く、全国トップ3の国産材産地、水産業分野では、若者が住んで稼げる元気な漁村、商工業分野では、ものづくりからの雇用拡大と地域のにぎわいといった目指す姿をそれぞれ掲げまして、また数値目標も掲げまして、これらの実現に向けまして全庁挙げて若者が志を持って打ち込める魅力ある仕事づくりに取り組んでいるところでございます。
産業振興計画の取り組み、非常に果敢、広くいろんな取り組みをしておるわけでございますけれども、その最終的な目的というものについて、若者にとって志をかけるに足る、人生をかけるに足る仕事をたくさんつくり出そうということを共通の目標として取り組む、そういうことで方向感を合わせようとしているところでございます。まず、これが第1であります。
第2に、志ある若者の挑戦、チャレンジを応援するためのさまざまな仕組みを整えようとしております。具体的には、特に第2期計画では、全国一学びの機会が多い県、全国一サポート体制が整った県、これを目指すことを掲げまして、学びの段階から事業化までの多様なサポートを行う、こういう仕組みを整えようとしておるわけでございます。少し具体例を申しますと、本年度から産学官の連携による産業人材の育成研修、土佐まるごとビジネスアカデミーを開設するなど、学びの場の一層の充実を図っておるところでございまして、全国一若者の学びの機会が多い県を目指したいと思っているところです。
また、事業化に向けましては、ビジネスの初期段階を支援するステップアップの補助事業から、地域アクションプランに位置づけての総合的な支援、さらには志ある事業者の皆さんのビジネスプランを応援する土佐の産業おこし参加プラン制度まで、全国的に見ても先駆的ではないかと思うようなさまざまな仕組みづくりに挑戦をしております。若い方々が新たな挑戦をする際、まず学ぶ、そのことを応援をする。そして、事業化を行おうとする次の段階においては、それぞれの段階に応じた支援が行える、そういう体制を整えようとしておるところでございます。
第3の点として、高知にありますさまざまな魅力ある仕事の創出や、高知にありますさまざまな強みのある産業について、県内外に情報発信をして知っていただくということもまた必要であろうと、そのように思っています。さまざまな機会を通じまして強みのある県内産業の情報発信を行いますとともに、新たに県外大学との就職支援協定によりまして、県外に進学した大学生への県内企業の情報提供を充実することとしております。加えまして、第2期産業振興計画の次の改定に向けまして、移住促進による経済活性化を新たなテーマの一つとしまして、本県で暮らす魅力を積極的に発信する方策等について今後検討を深めることとしておるところです。
本県、全国に先行して人口自然減や高齢化が進んでおりまして、多くの課題を抱える課題先進県でありまして非常に厳しい中にありますが、全国に先駆けて解決に向けた処方箋を示すことのできる可能性も有しておるのが課題先進県であると思っております。このため、課題解決先進県を目指しまして、産業振興計画や日本一の長寿県構想などを通じまして、さまざまな困難な課題に正面から挑戦していることを、志ある若者にアピールをしながら、この厳しい時代を切り開く同士として我々とともに課題解決に取り組んでいこうと訴えかけていきたいと、そのように考えているところであります。
(2)高知県の転入・転出の世代間の違いについて
○依光
次に、県の政策上扱う統計データと指標についてです。県では今PDCAサイクルの取り組みにおいてさまざまなデータを利用していますが、もう少し工夫ができないかと考えます。人口問題においても、高知県は全国で最初に自然減となり、社会増減に関しても平成12年以降はずっとマイナスが続いています。このことはよく知られていますが、私はもう少しわかりやすい指標で県民と課題の共有をすべきでないかと思います。そのためには、生まれ年ごとの人口増減の変化を見ることが有効で、出生数を分母に、高知在住者を分子にとり、これを百分率であらわして、生まれ年ごとに分析し、公表してはと思います。不慮の事故や病気など年齢が高くなるごとに人口は減っていきますので、分母の数字は全国の人口統計で減った分と同じ割合を減していくことで、社会増減だけを示す指標がつくれます。
使い方として、例えば学校の同窓会などで、我々昭和52年生まれは◯◯年生まれよりも県外流出が10ポイントも高いみたいだね。高知を盛り上げるために、今度高知に帰りたいと言っていた友人に仕事を探してやろうよというような話になれば、草の根のUターン支援になると思います。また、これは生まれ年ごとの地域間人材獲得競争にも読みかえられるので、ライフステージのポイントでUターン者を高知に呼び戻す際の目標設定、例えば子供さんが小学校に上がることに合わせて、また定年退職に合わせてなどにも活用できると考えられます。ただ、この指標は残念ながら実際に公表されているデータが限られていることもあり、簡単にはできませんでした。しかしながら、こうした新たな視点での指標づくりも必要ではないかと思うところです。なかなか難しいことだとは承知していますので、答弁は求めませんが、知事初め各部局長に私の思いを理解いただき、前向きに考えていただくよう要請させていただきます。
(3)高知県労働者の満足度調査
○依光
次に、誇りと志を持って働ける職場環境という点で、高知県の労働者が高知県で働くことに対してどれだけの満足を感じているのかについてお聞きをいたします。団塊の世代が大量退職の時期を迎える一方で、若い労働者はその大量退職を補うだけの人口ボリュームがなく、若い労働者の地域間での奪い合いという話を最近聞くようになりました。こういった状況を見たときに、私は高知県で働く労働者の満足度、これは賃金が高いとか安いとかだけではない話だと思いますが、現状をきちんと把握し、適切な対応をとっていくということが必要ではないかと思います。
例えば新卒学生が高知に就職か県外に就職かという選択を迫られる場面で、親御さんに相談した際、高知にはたくさんいい企業があって自分も高知の企業にやりがいを感じている。だから、高知の企業に就職しなさい。そうアドバイスしたなら、自然と高知で働く人材がふえると思いますが、逆のアドバイスであったなら、他県に意欲ある人材が奪われることになります。高知県で働く労働者が、高知県内で働くことに対してどれだけ満足を感じているのか。また、高知の労働者が重視する項目についてどんなものがあるのか。例えば仕事内容なのか、給与なのか、勤務地域なのか、福利厚生なのか。
どの程度調査できるか、困難なこともあるかもしれませんが、何らかの形で把握しておくことも必要だと考えますが、これからの担い手確保に向けての基礎資料にするお考えはないか、商工労働部長にお聞きをいたします。
(商工労働部長原田悟君登壇)
◎商工労働部長(原田悟君)
労働者の満足度を調査して、これからの担い手確保に向けた基礎資料にしてはどうかとのお尋ねがありました。
高知県内で働く方々がどういった点に満足しているのか、また高知で働く際に何を重視したのかといったことについて調査し、把握することは、今後U・Iターン就職の取り組みや新卒者の就職支援を進める上で大切なことであると考えています。昨年から県と労働局が連携しまして、大学生のUターン就職の実態調査を実施していますが、こういった調査にあわせて、高知で働くことを選択した理由や満足している点などについて、より詳細な調査を行うことは可能だと思いますので、労働局や経営者団体などの御協力をいただきながら、その実施について検討してみたいと考えています。
(4)キャリア教育への外部人材活用
○依光
次に、高知の担い手育成の場である学校教育についてお聞きをいたします。ことしは総務委員会ということで、学校現場を幾つか見せていただきました。そこで、感銘を受けましたことは、子供たちを将来どういった社会人に育てるかということで、校長先生を先頭に各学校が特色を持ってカリキュラムをつくっていることでした。また、その中で地域との連携や地域の人材を担う社会人を育てるという視点を大事にしている学校が多いことに頼もしさを感じました。
先ほどから、地域地域で若者が誇りと志を持って働ける高知県ということで質問させていただいておりますが、教育の現場ではいち早く取り組まれています。例えば嶺北高校では、生徒と地域が連携して嶺北地域を活性化させることを目的として、地域をフィールドとした学習活動を行っており、例えば米粉を使った商品開発に地元企業と取り組んでいるとのことでした。また、高知農業高校では、統合された大栃高校から香美市物部町神池の茶畑を受け継ぎ、茶葉からお茶をつくる実習をしたり、また鹿肉を使ったソーセージの試作品づくりを行ってきました。これは生徒さんが地域の人から喜ばれるということを通じて自尊感情を高め、職業意識を育むと同時に、地元の産品から県外へ商品を販売し、外貨を稼ぐという産業振興計画における取り組みにもつながる有望な人材育成策であると思いました。
これらの活動は、高知県教育委員会の実習会計や21ハイスクールプランの予算を使って運営しているわけですが、この予算に関しては使途の柔軟運用も含め、さらに推し進めるべきと思います。高知農業高校の事例では、年度がスタートした後に地域からお話があり、年初のカリキュラムを変更して授業をつくり直したというようなお話をお聞きしました。地域と高校をつなぎ、社会を学べるキャリア教育という意味では、校長先生の意欲だけに頼るのではなく、コーディネートの専門部署、カリキュラムづくりのサポート集団が教育委員会の中にあってもよいのではと感じます。また、地域をフィールドとした総合学習改善のための校長先生、教員同士の情報交換の場や、高知県民への成果発表の機会などもあればと思いました。
地域の産業を担う人材育成を目指した、地域をフィールドとしたキャリア教育の意義と、この取り組みを推し進めるべく、学校と地域をつなぐ授業開発や授業効果の検証を行う新たな組織を、外部人材も活用する形で設置するお考えはないか、教育長にお聞きをいたします。
(教育長中澤卓史君登壇)
◎教育長(中澤卓史君)
最初に、学校と地域をつなぐ授業開発や授業効果の検証を行う新たな組織を外部人材も活用する形で設置する考えはないかとのお尋ねがございました。
現代の子供たちは、地域社会の中で職業体験を初めとしたいろいろな経験を積む機会が少ないため、学校での学習と実社会でのつながりを意識することができず、自分自身の将来を決定することができなかったり、仕事についてもすぐに仕事をやめたりするなどの課題があります。この課題を解決するために、本年度から就学前から高校までを通じて社会的・職業的自立できる子供を育てるための指針としての高知のキャリア教育の冊子を作成しました。このキャリア教育の推進に当たっては、さまざまな専門的な知識や実社会での経験も必要であることから、経験豊富な外部人材の活用が不可欠であり、議員御指摘のように地域との連携や外部の方々の御協力が大変重要だと考えております。
現在、各学校では開かれた学校づくり推進委員会などの組織を設置し、保護者や地域の有識者などから学校教育に対する意見やアイデアなどをいただき、教育活動がさらに充実するように努力しているところでございますが、十分にその組織が活用されていない面も見受けられます。県教育委員会としましては、外部人材をより有効に活用でき、地域を担う人材の育成につなげていくために、まずは現在の組織を活性化し、地域の方々から出された意見や評価が適切に吸い上げられ、学校でできない部分を補い、学校改善に結びつけられるようなシステムづくりを進めていきたいと考えています。
(5)県教委と先端パワーとの連携
○依光
次に、県教委が高知県企業と結んだ協定についてお聞きをいたします。高知県だけの現象ではありませんが、せっかく会社に就職しても3年以内にやめてしまうという早期離職が問題となっておりまして、このことへの解決はとても難しいのですが、高校生のうちから職業意識を高めるということが近道ではないかと思われます。そんな中、高知県内の学校が先ほどのハイスクールプランの中で、県内企業の社長さんや人事担当者が講師となり、企業理念や企業経営を通じての社会貢献、働く意味や喜びについての講義を行い、自分の人生を考えてもらう学習の場をつくっていることを視察の中で知りました。その講義は、就職面接対策というようなものではなく、人間学、人生学というような人格形成の基礎をつくるものに感じられました。また、生徒たちには余り知られていない高知県企業について知ってもらう機会としても意味があって、県内への有望な人材定着につながるのではと思います。
今回の高知県教育委員会と高知県の優良企業集団である高知先端パワー企業グループとの、キャリア教育推進のための事業協力に関する協定の意義と、キャリア教育における事業協力の成果につきまして教育長にお聞きをいたします。
◎教育長
次に、高知先端パワー企業グループと締結した、キャリア教育推進のための事業協力に関する協定の意義及び成果についてお尋ねがございました。高知先端パワー企業グループとのキャリア教育推進のための事業協力に関する協定につきましては、児童生徒のキャリア教育の充実を図り、新たな次代を担うことのできる人材を育成することを目的とし、先月8月24日に締結したところでございます。したがって、まだ成果というところまでお話しすることはできません。
ただ、この協定によりまして、学校側も企業に対してさまざまな取り組みの支援をお願いしやすく、企業側も学校に対して知恵を出しやすくなり、双方をつなぐパイプが太くなることで、より多くの可能性を生かせるようになるものと考えます。今回協定を締結した高知先端パワー企業グループには、製造業を初め多様な職種があり、豊富な人材の協力が得られるものと考えております。今後も学校での学習と実社会を円滑につなぐために、地域や企業などの学校のほかの方々に協力をいただき、高知の子供たちを皆で育てていくキャリア教育を充実させていきたいと考えております。
2移住促進について
(1)3大学の産業振興計画への役割
○依光
次に、大学を活用した産業育成とU・Iターンの可能性についてお聞きをいたします。私は平成27年度からスタートする知の拠点、永国寺キャンパスが、産業振興計画に関する商品開発と地域で産業を担う人材育成において、最も重要な拠点であると考えておりまして、これまでの議会でも質問させていただいております。また、御答弁でも県内の高等教育機関の連携によって新たな商品開発に結びつけるお考えを表明されております。高知県に残る地域資源と伝統文化の潜在力は、多種多様な評価を受け入れられる奥行きの広さを持っており、異なる専門分野の研究者があらゆる角度からの発見を県民に還元してくれています。また、この研究者の多様性こそが高知の強みの一つでもあります。
改めまして、本日は高知県で長い年月、人材育成で大きな役割を果たしている高等教育機関であり、各大学の異なる専門領域によって高知への地域貢献を続けている高知大学、高知県立大学、高知工科大学の3つの大学に対して、今後さらにどのような役割を期待するか、知事にお聞きをいたします。
◎知事
次に、高知大学、高知県立大学、高知工科大学に対して、今後さらにどのような役割を期待するのかとのお尋ねがありました。大学には、生涯学び続け、社会や経済の発展を牽引する人材の育成に加え、高度な研究、地域の再生や課題解決など地域社会への貢献といった役割があります。現在、整備を進めています永国寺キャンパスでは、県民に開かれた社会貢献する知の拠点として、高知県立大学と高知工科大学が連携をして、教育研究の充実はもとより、社会人教育や生涯学習、さらに産学官連携など積極的に推進をしていくこととしておるところであります。また、高知大学は今後地域再生の核となる大学づくり、これを大学のミッションの中心に据えて、地域貢献をさらに推進していく方向であると伺っております。高知大学とは、これまで以上に県が抱える課題や基本政策を共有し、課題解決に向けともに取り組んでいくため、今年度から定期的に意見交換会を開催することとしておりますので、県の施策との連携や協力をより一層深めていくことができるものと考えております。
さらには、県内3大学に参加をいただきまして、昨年度立ち上げました産学官連携会議では、産業人材育成のための体系的なプログラムを作成いたしますとともに、本年度からは新エネルギー、防災、食品の3つの部会を設けて共同研究の推進にも取り組んでおります。さらに、3大学連携でもって、さらに官民協働でもって、現在実施しております、先ほども申しました土佐MBA、こういう取り組みも進んでいるところです。こういう取り組みをさらに拡充していくことで、社会人教育の充実、徹底した充実につなげていくことができないか、私はそういう思いを持っておるところです。これらの取り組みを通じまして、県内の大学がそれぞれに異なる専門領域を生かしつつ、第2期産業振興計画の推進はもとより、日本一の健康長寿県構想の推進などに今まで以上に貢献していただくことを期待しているところでございます。
私からは以上でございます。
(2)リタイアメントコミュニティによる移住
○依光
次に、リタイアメントコミュニティーの核ともなる永国寺キャンパス整備についてお聞きをいたします。高知県の経営者を中心に組織されております土佐経済同友会では、大学を核としたリタイアメントコミュニティーという議論をスタートさせました。これは高齢者の移住者を受け入れた大学を核とした町が世界各地にあって、生涯学び続けながら健康を維持し、地域にとっては人口増による雇用創出により地域の振興を実現したという事例を高知でも実現できないかというものです。リタイア世代にとっての老後の楽しみはというと、これまではゴルフなどの娯楽であると考えられていましたが、アルツハイマー病の増大による反省から、介護が必要とならないための工夫の議論が行われ、生涯知的好奇心を満たすための学問によって生きがいの増大を生み出そうとしたことが契機のようです。
詳細な説明は省きますが、移住のための年収要件はそれほど高くなく、介護が必要になっても一生必要な支援を受けられる仕組みになっています。その理由は、年間450時間以上の授業に出ることが入居条件になっているのですが、授業によって頭を使い、サークル活動、自治会組織などへの参加で認知症にならない、介護度が上がらないということで、手ごろな値段となっています。高齢者を高知に呼び込むのは、医療費など県の負担が多いのではという声もありますが、県が試算した夫婦50組100名の移住で65億円の経済波及効果というデータに加え、海外の事例でも介護度が高い状態を予防する仕組みをつくることでプラスの効果のほうが大きいことが証明されております。
高知県において、平成27年度に図書館、山内資料館と学びの場が整備され、永国寺キャンパスにおいては、会議室や食堂などにプレゼンテーション機能を持たせて整備し、研究会やシンポジウム、ワークショップなど、県民や地域の方々に積極的に活用してもらう方針を表明されております。この整備は、リタイアメントコミュニティーをつくり出し、リタイア世代を高知に呼び込む準備にもなると思います。高齢者の移住ということに関しては、ついの住みかという大きな決断でもあり、よほどの魅力がなければ人は動かないと思われます。しかし、高知県でしかできない幕末の英雄に関する研究であるとか、高知の食を生かした健康食品の研究であるとか、また地域の希少植物や昆虫などの調査、ジオパークなど地質の研究など、素材はたくさんあるのですから、高知に行けば研究者としての老後が送れるというようなことを打ち出せば、移住者を呼び込むことは十分可能ではないかと思います。
また、サラリーマンの方々が退職された後に、庭の草むしりくらいしかやることがなく、家に閉じこもって介護が必要な状態になるというような事例を聞きましたが、高知に来て◯◯大学の研究室所属研究員というような肩書で名刺を持って社会参加を継続するというのは、新しい老後の形ではないかと思います。例えば、都会でばりばりお仕事をされた方が、知の拠点、永国寺キャンパスで産業振興計画のビジネスプランづくりに参画していただけることができたなら、地産外商の力ともなっていただけるのではと思います。こういった成功イメージのためには、永国寺キャンパス整備において、高知大学、県立大学、工科大学の3つの大学の生涯学習に関するカリキュラムの連携や知のコラボレーションを狙った空間づくりの工夫が重要なポイントとなります。
わざわざ高知に移住したくなる日本一のリタイアメントコミュニティーの核として、また学びの相乗効果を生み出す大学間連携が進んだ組織づくりと、高齢者を含め多くの県民が集いやすい空間づくりの工夫、高齢者向けのカリキュラムの充実などが期待される知の拠点、永国寺キャンパスの現在の整備状況につきまして副知事にお聞きをいたします。
(副知事岩城孝章君登壇)
◎副知事(岩城孝章君)
高齢者の移住促進に関連した永国寺キャンパスの現在の整備状況についてお尋ねがございました。
第2期の産業振興計画におきましては、移住促進による経済活性化を産業振興計画の次の改定に当たっての新たなテーマとして、庁内のプロジェクトチームで検討を深めることとしております。その中で、お話にございましたように、試算では同年齢の60歳の夫婦50組が大都市圏から高知市に移住をし、平均寿命である男性80歳、女性86歳まで暮らしていただいたとしての本県への経済波及効果は65億円となっております。こうして本県に移住された方々が、お話にございましたように、高知にある素材を選ばれて、独自の研究に励まれることは大変喜ばしいことですし、あわせまして、これまでの経験や知識を生かして、研究開発や事業者のビジネスプランづくりなどにその能力を発揮していただくことで、本県の産業振興に貢献していただくことも大いに期待するところでございます。
お話にございました、いわゆるリタイアメントコミュニティーの構想につきましては、永国寺キャンパスを拠点に、県内各大学を初めとします産学官が連携する組織づくりや、生涯学び続けながら健康を維持できるよう、高齢者を含めた社会人教育の充実などを進める本県の取り組みにマッチするものであり、リタイア層の方々に本県の魅力をより感じていただける有効な考え方ではないかと思っております。こうした中で、永国寺キャンパスの整備につきましては、シンポジウムや研究会に活用できるプレゼンテーション機能を備えた講義室や会議室などを広く地域に開放するとともに、高齢者を初め幅広く県民の方々に御利用いただけるよう、ユニバーサルデザインにも配慮しながら、現在基本設計を進めているところでございます。
(3)高齢者向け産業の育成
○依光
次に、高齢者の日常生活を補う高齢者向け産業の育成についてお聞きをいたします。高知県にはルミエールサロンという目の不自由な方々向けの機器展示室が高知県立盲学校の中にありますが、ここでの取り組みは、高知県で年をとっていくことへの安心感を生み出し、また新たな産業の芽にもなる取り組みであると期待しております。物が見えづらくなるということは、年齢が高くなることによって誰でも経験することですが、少しの訓練、少しのグッズ紹介で、劇的に生活が変わるという事例を教えていただきました。例えば白黒反転まないた、これは表が白、裏が黒と反転させることのできるまないたなのですが、紹介された方が黒いまないたを使って、これでイカそうめんを家族につくってあげられると喜んだという事例を教えていただきました。
また、拡大読書器という商品は、使う人の目の状態に合わせて文字を拡大し、白黒反転や背景は青、文字は黄色など、5種類の色の切りかえで見え方を改善する機能がついているもの。また、視覚障害者向けパソコン用ソフト開発では、株式会社高知システム開発がインターネットの読み上げソフトなどで全国的に高い評価を得ています。こういった便利な道具について教えてくれる視覚障害者生活訓練指導員さんですが、現在2名で高知市を除く県内をカバーしており、さらに車は1台、電話は2人が出払っていれば留守番電話と、県内の増大するニーズには全く対応できていないようです。厳しい財政状況ですから、訓練指導員の増員や車の配置は厳しいのかもしれませんが、高齢者等のニーズを的確に把握し、生活の質の向上につながる商品開発を進めることは、いつまでも元気で生活できる高知県を目指す取り組みとしても重要だと思います。
高知県は、産業振興計画の中で、今後成長が期待される分野として健康福祉をテーマの一つとして取り組みを進めていますが、その取り組みの状況を商工労働部長にお聞きします。
◎商工労働部長
次に、高齢化が進む中、産業振興計画における健康福祉の分野などの取り組みについてお尋ねがありました。高齢化の進行に伴い、高齢者の健康に配慮した食品や身体機能の低下を補う機器、あるいは介護関連サービスなど、福祉・介護といった分野の需要の拡大が見込まれています。そのため、こうした成長が見込まれる分野の需要を本県産業の振興に生かしていくという視点から、健康福祉や食品などの分野をテーマに研究会を設けて、事業化のアイデア段階から商品の試作、販路開拓まで総合的な支援を行ってまいりました。
現在、健康福祉と食品の両研究会に合わせて156の会員の皆様に御参加いただいており、これまでに27の事業化プランが認定され、商品開発や販路開拓などの取り組みが進められています。主な事業化の例といたしましては、食材本来の形や風味を残したやわらかく飲み込みやすい介護食や病院などで感染を予防する使い捨てタオル、また高齢者介護施設などの施設運営サービスの提供といった商品が生み出されており、本格的な量産に向けて準備を進めている企業も出てきております。今後とも研究会活動を通じて、高齢者等のニーズに応えられる商品開発や事業化に取り組んでまいります。
一方、新たな技術開発や研究開発の推進といった面では、県内の大学や企業において高齢者の歩行を助ける支援器具や高品質な紙おむつなどの研究が進められており、県としても工業技術センター、紙産業技術センターによる技術的な支援や産業振興センターとの連携による研究開発への助成などを行ってまいりました。また、新たに医療関連機器の開発に取り組むといった動きなども出てきていますので、今後とも産学官の一層の連携を図りながら、事業化に向けた支援を行ってまいります。こうした研究会を中心とした商品開発から販路開拓までの一貫した取り組みや新たな技術開発などを着実に進めていくことで、高齢化に伴う新たな分野の需要への対応を図り、本県産業の振興につなげていきたいと考えています。
(4)移住現地コンシェルジェ
○依光
次に、U・Iターンについてお聞きをいたします。先ほどはリタイア世代の移住ということで質問をさせていただきましたが、私が住む物部川流域には、少しずつ若い移住者もふえてきております。移住者支援においては、高知県では、お試し住宅や移住コンシェルジュなどいろいろな取り組みが行われていますが、移住者にとって空き家を探すということに関しては、非常に御苦労があることを聞きました。中山間地域を中心に空き家はどんどんふえていますが、移住者とのマッチングはうまく進んでいません。その理由としては、将来自分が帰るかもしれないので空き家のままで置いておきたいという思いや、地域のルール、しきたりを知らない人を受け入れて、御近所の方に迷惑をかけることは避けたい、古くなって貸せるようなものではないというようなものです。
高知に移住したい人がいて、空き家もあるのに移住が進まないという状況を何とか改善できないかと思います。県はポータルサイトをつくって、宅建業者の仲介によって移住者に紹介する取り組みを行っていますが、先ほどの理由で空き家が余り出てこず、この事業の効果が上がるには、もう少し時間がかかるのかなと思います。一方で、私が移住者の方にヒアリングをして聞いたところによると、雨漏りがするなど、壊れていてもいいので安く借りたい。また、自由に家を直させてもらいたい。県のポータルサイトに登録された家は家賃が高くて手が出ない。田舎暮らしをしたいのに、都会のマンションのような修理がされていて、住みたい家のイメージとは違うというような声がありました。
では、どうしたらいいのかと聞くと、空き家の持ち主の電話番号と家の場所の一覧があれば、行政の支援は必要ない。地域のルール、しきたりを教えてくれる地域のコンシェルジュのような人がいたらさらにありがたいということでした。移住しようという人たちは、基本的には行動力がある人なので、直接持ち主にアプローチして安く個人的に借りたい。また、思う以上に家をきれいに直して家賃が高くなるよりは、壊れたまま安く貸してくれたら自分たちで使いやすいように直したいとのことです。改造した家を持ち主に戻すときにトラブルにならないのかと聞くと、移住者好みに改築した家は、同じような嗜好の移住者がすぐ借りるため、家主としては資産価値が上がると捉えて、もとの状態に戻せと言われた事例は聞いたことがないという話でした。
地域のコンシェルジュの役割はと聞くと、地域には地域の暗黙のルールがあって、例えば地域の分担金を集めにきた人が、「移住してきたばかりで、お仕事もされていないので今回は払わなくていいですよ」と言ってくれたので払わなかったら、地域の中で、今度来た移住者は分担金を払っていないという話をされ、地域からの信用を失った。集めに来た人の好意と、地域の人の受けとめは違ったという事例を話されて、暗黙の了解や長年地域に住んでいる人しかわからないしきたりを教えてくれる、移住者の先輩がいる地域には移住者は入りやすいということをお話しされました。香美市の事例では、香北町谷相が移住者の村として有名ですが、そこではIターンの先輩がいて、新しい移住者への情報提供がきちんと行われていて、トラブルなしに移住者をふやし続けています。
そこで、高知県は産業振興計画の第2期計画において、移住促進による経済活性化を新たな取り組みとしてスタートさせますが、高知県内の先進事例において地域のルールを後から来る移住者に教えたり、空き家の情報提供や家主さんとの交渉のお手伝いをして、これまで成果を上げてこられた方々を例えば移住現地コンシェルジュとして認定して、移住の取り組みに対するアドバイザーとして移住促進をさらに加速させるお考えはないか、産業振興推進部長にお聞きをいたします。
(産業振興推進部長中澤一眞君登壇)
◎産業振興推進部長(中澤一眞君)
これまで移住の促進に成果を上げてこられた方々を、例えば移住現地コンシェルジュとして認定し、移住促進をさらに加速する考えはないかとのお尋ねがございました。
お話がございましたように、移住される方にとりましては、地域の実情に詳しい方々から地域のルールや空き家情報の提供などの協力をいただくことは、大きな支えになると思います。実際、お話のありました香美市や嶺北地域などには、多くの移住希望者から相談をお受けして、空き家の案内をされたり、移住のお試し滞在をするための場所を提供されたりして、移住の実現に大きく貢献をいただいている方々がいらっしゃいます。この方々は県の窓口に来られた相談者に対しましても、空き家情報を提供していただくなど、まさに現地に密着した移住コンシェルジュ的な立場で御協力をいただいているところです。
こうした現状から考えまして、県としましても、それぞれの地域において移住相談の窓口となられ、移住の実現に向けてさまざまなサポート活動をされている方々の存在は大変心強く感じておりますし、こうした方々との連携をさらに強化することが移住を促進していく上で大変効果的なことだと考えています。県では、第2期の産業振興計画で今後挑戦する新たなテーマとして、移住促進による経済活性化を位置づけ、今後庁内に設置いたしましたプロジェクトチームで具体的な施策の検討を進めていくこととしておりますので、その中で御提案のありました民間の協力者の位置づけにつきましても、市町村との連携の強化などとあわせまして具体的な方策を検討してまいります。
(5)空き家の補助制度
○依光
次に、中山間の空き家の活用と支援策についてお聞きをいたします。高知県内の空き家は、中山間地域を中心に今後どんどんふえていくことが予想されますが、この空き家の多くがその土地の大工さんがつくった日本建築であり、その日本家屋は人が住まなければどんどん資産価値が落ちていきます。その理由は、空気の流れが滞ることが大きな原因で、締め切った家は湿気を生み、空気の流れのない空間では、カビが発生し、木材の腐食が進みます。また、人が住んでいなければ雨漏りに気づくこともできず、木材が常に湿った状態になれば、さらに腐食が進んでいきます。
中山間にある日本家屋は、その土地の歴史と文化を表現した景観を形づくり、田舎暮らしにあこがれて高知に移住する人々にとっては、大きな魅力となっています。また、南海地震による津波被害が想定される高知県において、避難場所としての位置づけも今後重要であると思います。香美市の平山地区、猪野々地区でいざというときの避難者の受け入れ調査をしたのですが、平山地区で、支援があれば可能も含めて51.8%、猪野々地区で55%の方々が避難の方を受け入れるとお答えをいただきました。ちなみにアンケート回収率はそれぞれ世帯数の59%と56%です。
県は、市町村ごとの避難者数と受け入れ数の過不足の調査をしていますが、仮設住宅を建てるよりは既存の住宅を活用するほうが安上がりで、中山間の家屋の維持にも有効です。県は、市町村と民間事業者との間で、津波避難施設指定の協定締結などを前提に、民間事業者による津波避難施設等の整備経費を支援する補助制度を創設することにしていますが、その仕組みを中山間地域にも応用して、集落単位と受け入れ人数の協定を結んだ上で、自治会長さんや地区長さんが空き家の家主さんと交渉し、最低限の改修と管理する仕組みがつくれれば、集落の空き家の把握と耐用年数の延長、またいざというときの避難者の受け入れ場所もふやせると思います。
そこで、中山間地域に存在している空き家を改修して、交流施設や田舎暮らし体験施設として活用するための事業を実施することによって、平常時から都市部との人の交流が盛んになれば、いざというときの避難者を受け入れる体制をつくることができ、さらに受け入れ施設として活用できると考えますが、土木部長の御所見をお聞きいたします。
(土木部長奥谷正君登壇)
◎土木部長(奥谷正君)
中山間地域に存在する空き家を改修して、交流施設や田舎暮らし体験施設として活用するための事業を実施することにより、平常時から都市部との人の交流が盛んになれば、いざというとき避難者を受け入れる体制をつくることもでき、さらに受け入れ施設として活用できるのではないかとのお尋ねがありました。
南海地震による津波被害が想定される本県においては、浸水の心配のない中山間地域の空き家などを活用し、被災者を受け入れることができる避難場所を確保していくことが重要です。しかしながら、空き家を改修しても平常時から使用しなければ、住宅の劣化が進み、災害が発生するまでの間の維持管理が困難になります。このため、例えば滞在者向けの宿泊施設や定住希望者向けの住宅などとしてふだんから利用すれば、都市部との人の交流も生まれ、中山間地域の活性化にもつながるものと考えております。県としても、これらの中山間地域の空き家の有効活用を図るため、市町村に国の空き家再生等推進事業などの情報提供を行い、積極的な活用を促していきます。
3南海地震対策について
(1)初動対応の映像での情報共有
○依光
次に、南海地震における初動対応についてお聞きをいたします。国の津波浸水予測によれば、津波が県庁付近に早ければ4時間程度で到達することが想定されておりまして、高知市が広域にわたって被害を受けることが明らかになりました。県庁に設けられる災害対策本部にとっては、かなり厳しい初動対応が予想されます。そこで、地震発生初期には、衛星携帯電話などでマンパワーを使って被害状況を県庁に連絡するというよりは、あらゆる現場の映像を使い、瞬時に情報伝達する仕組みづくりが有効であると思います。特にヘリコプターからもたらされる映像は、固定カメラとは違って、欲しい情報を上空に行って収集できること、また通信網が県内で厳しい状況になっても、被害のなかった受信施設に直接電波を送ることで情報を伝達することができます。しかし、例えば県警ヘリコプターの情報は、現状では県庁と警察本部でしか見ることができません。
私は、県庁に設置される災害対策本部に全てを集約して情報収集から命令までやるということには反対をしておりまして、将来設置される総合防災拠点や災害対策支部、あるいは津波の被害のない市町村に役割を分担しておくべきではないかと思います。特に情報収集や情報処理、分析は、県庁の災害対策本部でやる必要はなく、ある程度整理された情報だけを集めて意思決定だけを行うということでよいのではと思います。また、香美市を例にとると、南海地震が発生後、最初は土砂崩れ、火事、救急搬送など香美市内の救助を優先しますが、落ちつけば近隣市町村への救助も広域協定に基づいて行うことになります。その際、ヘリコプターからの映像が香美市役所に入っていれば、例えば南国市や香南市の上空からの被災状況から、避難してくる人々の大まかな人数を想定して受け入れの準備をするなど、事前の対応もできると思われます。
そこで、地震発生後ヘリコプターが集めた映像を県庁の災害対策本部だけではなく、総合防災拠点や災害対策の前線基地である市町村の災害対策本部でも見られるようにするお考えはないか。また、ヘリコプターからの映像を災害時でもトラブルなくきちんと受信できる体制も必要ですが、現状と今後の取り組みについて危機管理部長にお聞きをいたします。
(危機管理部長高松清之君登壇)
◎危機管理部長(高松清之君)
南海地震対策に関しまして、地震発生後、ヘリコプターが集めた映像を県の災害対策本部だけでなく、総合防災拠点や市町村の災害対策本部などでも見られる体制とすることについてのお尋ねがございました。
ヘリコプターが被災地上空から撮影した映像は、被害状況の全体像や人命救助、捜索活動を行うエリアの把握など、さまざまな応急対策に有効であり、議員からお話がありましたように、県庁だけでなく災害対策支部である土木事務所や市町村、そして県内各地の消防本部などと共有することが効果的な対策につながると考えています。ヘリテレの機能を持って活動している警察本部や四国地方整備局のヘリコプターが撮影した映像は、現在でも県警本部や地方整備局を経由して県庁で受信することができます。さらに、総合防災情報システムを介して県から市町村等に配信することは可能ですが、これらのヘリが収集する情報につきましては、基本的には市町村への配信が想定されていないことから、南海地震などの災害時に市町村等へ配信することにつきまして、事前に協議を行っておく必要があります。また、警察本部や四国地方整備局と県庁、そして県庁と市町村の間での映像の伝送は、現在のところ有線回線を使用していますため、地震発生時には断線し、受信、配信ができなくなる可能性もございます。
一方、来年度に消防庁から貸与を受ける予定のヘリコプターは、衛星回線を利用して県庁に送信をしてまいりますので、県庁での受信の信頼性は高まります。今後、当面はこの新しい防災ヘリが撮影した映像を総合防災情報システムを介し、有線回線によって出先機関や市町村、消防本部などに配信することとなりますが、順次、専用の受信機やアンテナなどの配備を進め、衛星回線でも配信できるようにすることで、災害時における市町村等への情報伝達の確実性を高めていきたいというふうに考えております。
(2)医薬品卸会社の浸水対策について
○依光
次に、薬の備蓄についてお聞きをいたします。県は薬の備蓄について、県内28カ所の医療機関が通常の取引量以上の在庫を持つ流通備蓄という形をとっていますが、県内の医療機関とは別に民間の医薬品卸会社にも在庫があり、何かあれば活用できる協定を結んでおります。しかし、県内に4カ所ある医薬品卸会社の物流拠点のうち、3カ所は浸水が予想されております。貴重な薬を多数抱えた物流拠点を確実に浸水しない土地に移転させる取り組み、あるいは物流拠点を高台に整備することへの補助によって状況を改善する考えはないか、健康政策部長にお聞きをいたします。
(健康政策部長入福聖一君登壇)
◎健康政策部長(入福聖一君)
南海地震対策に関連しまして、医薬品卸会社の高台等への移転についてお尋ねがありました。
災害時における医薬品供給に関する取り組みといたしまして、昨年度発災後3日間の急性期対応の医薬品を12の病院に、歯科用医薬品を16の歯科診療所に、通常の取扱量に上乗せして在庫する流通備蓄という形で保管をしております。今年度は、4日目以降に必要となる輸液やけがによる破傷風予防のための医薬品などを追加備蓄することとしております。また、本年3月に高知県医薬品卸業協会と災害時における医薬品等の供給に関する協定を締結し、県や市町村が備蓄している医薬品等では対応が困難となった場合に、県の要請に応じて必要な医薬品等を供給していただくこととあわせまして、発災後2週間程度の間に必要となる医薬品のリストを事前に作成して、発災後すぐにそのリストに基づいて優先供給をしていただく仕組みを構築することとしています。
議員御指摘のとおり、県内の幾つかの医薬品卸会社は浸水が想定される区域にありますけれども、医薬品を浸水被害を受けにくい2階に移すなど、日ごろからの備えを行いますとともに、被害を受けた場合には、県外の系列会社等から医薬品を搬入する仕組みをつくるなど、それぞれの会社において災害発生時の医薬品供給体制の確保に向けて取り組んでおられます。このように、現時点では県内の医薬品卸会社から物流拠点の移転についてお話は聞いてはおりませんけれども、災害時においても医薬品の供給機能が維持できますよう、業者間や行政との通信の確保や医薬品の搬送手段の確保などにおきまして、必要な協力をしてまいりたいと考えております。
4生涯スポーツの振興について
○依光
最後に、高齢者スポーツの振興についてお聞きをいたします。ねんりんピックよさこい高知が来年10月に春野総合運動公園を中心に開催されますが、そこで開催されるスポーツの中には、ゲートボール、ペタンク、グラウンドゴルフ、太極拳、ウオークラリー、ボーリング、バウンドテニス、パークゴルフ、フィッシング、囲碁、将棋、俳句、健康マージャンなど、高齢者スポーツならではの競技がたくさんあります。こういったスポーツは、若いときからやっている方ばかりでなくて、高齢者になってから手軽に始められるところがよいところではないかと思います。しかし、定年退職された方が体力維持や仲間づくりのために何かスポーツをやってみたいと考えた際、気軽に募集チラシを見つけたり、競技の場所が身近にあったりという環境にはまだまだ不十分でないかと思います。
私の住む香美市では、ペタンクやグラウンドゴルフ、またねんりんピックの種目には入っておりませんが、マレットゴルフなどが盛んで、その理由を考えますと、ペタンクは香美市内各地のグラウンドで、グラウンドゴルフは鏡野公園や土佐山田スタジアムで、またマレットゴルフは地元有志によってコースがつくられるなど、身近に競技の場所と指導者を含めた仲間がたくさんいることではないかと考えられます。パークゴルフ場という競技の場所をつくった黒潮町や中土佐町では、パークゴルフ人口をふやすことだけにとどまらず、パークゴルフ場自体が観光スポットとなっています。
そこで、ねんりんピックを契機に、日本一の高齢者スポーツ県を目指して定年退職を迎えた人たちや高齢者に生涯スポーツを紹介し、スポーツ人口をふやす取り組みをこれまで以上に市町村と連携して推進していくお考えはないか、教育長にお聞きをいたしまして、第1問といたします。
◎教育長
最後に、本県のスポーツ人口をふやす取り組みをこれまで以上に市町村と連携して推進する考えはないかとのお尋ねがございました。県民が健やかで心豊かに、支え合いながら生き生きと暮らすことのできる日本一の健康長寿県構想の実現には、日常的に運動やスポーツ活動のできる環境づくりが大切であると考えております。日常的に運動やスポーツを行える場の一つとしまして、子供から高齢者までそれぞれのレベルに合わせて気軽に参加できる総合型地域スポーツクラブが、県内の24の市町村で32クラブが活動しております。それぞれのクラブで地域の実情に合ったスポーツ教室や世代間交流のイベントなどを行い、地域のコミュニティーとしての役割も果たしております。
また、これまで運動習慣のない方に運動やスポーツに親しんでもらうためには、スポーツ環境の充実や指導者の養成確保が重要であり、各市町村でスポーツ活動の中核を担っていただいておりますスポーツ推進委員などを対象に、スポーツ指導者講習会を開催するとともに、それぞれの地域の実態や要請に応じて、専門的な指導者を派遣する指導者派遣事業などを行っております。さらに、現在生涯スポーツを推進するために、スポーツを通じて健やかで心豊かに、支え合いながら生き生きと暮らせることのできる社会を理念としまして、具体策を盛り込んだスポーツ推進計画の策定に向けた作業に取り組んでおりまして、積極的に市町村と連携を図り、運動やスポーツに携わる人口が一人でも多くなるようスポーツの振興に努めてまいります。
◆9番(依光晃一郎君)
それぞれ前向きな御答弁ありがとうございました。
2問目をさせていただきます。知事にお聞きをいたします。先ほどは高知を選んで働いてもらうことへのメッセージということで、チャレンジを応援する県ということで、非常に力強いメッセージをいただいたと思います。ほかにリタイア世代であるとか、インターンの移住者であるとか、高知に来ませんかであるとか、戻ってきませんかというメッセージはいろいろなところで行っていただきたいと思います。働いている方だけじゃなくって、いろいろなところにですね。例えば医師確保とかにおいても、高知は頑張っているんだからというようなことを発信していただければ、ああ、じゃあ高知で頑張ろうというような人もふえるんではないかと思います。
そこで、知事は県人会を含め首都圏とかに高知県人者、関係者の集まる場にたくさん行かれると思うんですが、そこでぜひU・Iターンのメッセージを強く出すことも非常に有効ではないかと思うんですが、その辺、知事のお考えをお聞きいたします。
◎知事(尾崎正直君)
御指摘のとおり、ぜひそのU・Iターンのメッセージをそういう場で強く出していきたいと、そのように思います。ただ、議員の御指摘の中にもありましたが、なかなか移住までしてきてくれるということは、ハードルの高いことでありまして、そう簡単なことではないという思いがありまして、やはりこういう例えば役割を担っていただきたいので帰ってきてもらいたいとか、もしくはこういう研究ができますので帰ってきてもらいたいとか、もしくはこういうすばらしい住居、環境がありますので帰ってきてもらいたいとか、何かやっぱりアタッチメントがあって初めて帰ってきてくださるというところがあるんじゃないかという思いを非常に強くいたしております。
今、移住促進策のプロジェクトチームでも、その点を非常にポイントを置いて検討しておるところでございまして、まず帰ってきてください、頑張っているんで帰ってきてくださいというメッセージを打っていきますとともに、あわせましてそういう研究が進みましたら、より強力なインパクトのあるメッセージとしてお伝えできるようになるんじゃないかと思っていまして、その伝えるメッセージの中身の充実についてもあわせて検討していきたいと、そのように考えております。
◆9番(依光晃一郎君)
ありがとうございます。
そのようにして、ぜひとも移住者をふやしていただくような取り組みを進めていただきたいと思います。また、リタイア世代の取り組みということでは、生涯学習であったり、生涯スポーツであったりと、高知の魅力を高めることができると思いますんで、ぜひ進めていっていただきたいと思いますし、リタイアメントコミュニティーというところでは、副知事から非常に強いメッセージをいただきましたので、そういう点も調査研究をどんどん進めていただきたいということを要請させていただきまして、私の一切の質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(武石利彦君)
以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。明27日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。
午後4時42分散会
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